東京都三鷹市、井の頭恩賜公園の中核をなす池が、井の頭池。江戸入府後の徳川家康が、鷹狩の際に湧水を気に入り、神田上水の水源にしたという池で、今も両国橋脇で隅田川に合流する神田川(流路延長24.6km)の源流になっています。現在では、井の頭恩賜公園のボート池としても人気です。
武蔵野三大湧水池のひとつで、神田川、神田上水の源
徳川家康に上水道の見立てを命じられた、三河以来の家臣・大久保忠行(おおくぼただゆき/大久保藤五郎)は、7ヶ所の湧水があることから「七井の池」と呼ばれていた井の頭池に目をつけます(「池中に清泉湧出する所七ヶ所ありて旱魃にも涸る事なし。故に世に七井の池と称ふ」/『江戸名所図絵』)。
江戸市中(武家地と商人町)の水道を確保するために、湧き水の豊富な井の頭池、下流側の善福寺池に目を付け、小石川上水(後の神田上水)を開削。
徳川家康は、大久保忠行の功績に対して主水という名を与え、以来、大久保家では大久保主水と名乗るように。
「もんど」では水が濁るというので代々「もんと」と称し、子孫は、菓子屋に転じて、代々幕府の菓子御用を務めています。
井の頭池と命名したのは、七井の池周辺に鷹狩に来た3代将軍・徳川家光ともいわれていますが、史書による裏付けがなく定かでありません。
池の周囲に縄文時代の竪穴式住居遺跡があるのも、清らかな湧水があるから。
明治以降は宮内省の管理となりますが、東京市への下賜を受け、大正6年5月1日、井の頭恩賜公園として開園。
ボート場になったのも昭和4年7月という東京屈指の歴史を誇るボート場です。
近年は市街化などによる湧水の減少で、水質が悪化し、平成26年から掻い掘り(かいぼり)も行なわれています。
井の頭恩賜公園は日本テレビ系のテレビドラマ『俺たちの旅』(昭和50年〜昭和51年放送)のロケ地で、井の頭池に架る七井橋は、たびたび登場しています。
なお、井の頭池は、善福寺公園の善福寺池、石神井公園の三宝寺池とともに、武蔵野三大湧水池にも数えられています。
江戸時代に隆盛した井の頭弁財天への弁才天信仰
井の頭池西端の島にある井の頭弁財天(江戸時代までは神仏習合、別当寺は天台宗大盛寺)は、平安時代中期、源経基(みなもとのつねもと)創建とされ、徳川家光が再興したと伝えられています。
江戸時代には、江島弁財天など、弁財天信仰の隆盛を背景に、江戸の歌舞伎役者、町人の尊崇を受け、江戸市中に講中が組織されたほどでした。
歌川広重の『名所江戸百景 井の頭の池弁天の社』、『名所雪月花 井の頭の池 弁財天の社雪の景』にも描かれています。
幕末に旗本・土岐頼旨(ときよりむね)が描いた井の頭紀行には、今と変わらぬ井の頭池のかたちが描かれています。
井の頭池 | |
名称 | 井の頭池/いのかしらいけ |
所在地 | 東京都三鷹市井の頭4-1 |
関連HP | 井の頭恩賜公園公式ホームページ |
電車・バスで | JR吉祥寺駅から徒歩5分 |
ドライブで | 首都高速高井戸ランプから約6.2km |
駐車場 | 60台/有料 |
問い合わせ | 井の頭恩賜公園案内所 TEL:0422-47-6900/FAX:0422-47-9371 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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