高さの表現には、標高、海抜があります。国土地理院によれば「日本の土地の測量(地図)での高さは『標高』で表し、東京湾平均海面(1873年〜1879年の平均潮位)を基準(標高0m)として測っています」とのこと。海抜は文字通り近傍の海からの高さのことで、厳密には標高とは異なることに。
標高と海抜は厳密には異なりますが、混同されることも
1873年6月〜1879年12月までの6年以上の間にわたり、東京隅田川河口霊岸島(現・東京都中央区新川)で量水標(りょうすいひょう=長い物差し)を使って、潮位を観測して霊岸島量水標零位(Arakawa Peil=Arakawa Peil)を決定。
この霊岸島量水標零位(Arakawa Peil=+1.1344m)を東京湾平均海面(Tokyo Peil=0m)とすることで、全国の標高を決めています。
実は日本海と、東京湾のある太平洋では海面の高さも異なります。
日本海と太平洋との間の水位差は夏から秋に大きく、春先に小さくなるという季節変化がありますが(対馬暖流が流れるため、水温が最も低くなる3月に水位は最低となり、9月〜10月の間に最も高くなります)、常に日本海の方が高くなっています(平均値で20cmほどの差があります)。
東京湾の平均海面を基準にすることで、実際には東北・北陸・山陰・九州地方の日本海側が高く、北海道・東北・関東地方の太平洋側が低くなっています。
ただし、これにも例外があり、八丈島以南の島々、吐噶喇(とから)列島以南の島々などは、独自の平均海面を基準値としています(例えば八丈島では神湊港平均海面など)。
大阪でいえば、大阪湾の平均海面からの数値(海抜=近くの海の平均海面からの高さ)の方が正確ですが、これでは他地域との比較ができないので、基準となる値を決め、標高を決めているのです。
八丈島以南の島々、吐噶喇列島以南の島々は、遠く離れた離島で誤差が大きいということから、最寄りの港の平均海面を測地し値を定めていることから、海抜を使っていることになります。
「ここのは海抜●●メートル」などという表示を見ることがありますが、正確には、近くの海面から測地した高さということになります。
ただし、現在では標高とほぼ同じ意味で使われていることも多く、近くの海面での測地がない可能性もあるのです。
日本沿岸の平均海面水位は、1980年以降、上昇傾向にあるので、東京湾平均海面の基準となる水位にも変動が生まれるかもしれません。
標高と海抜の違いとは!? | |
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