川の水は中央脊梁山脈で日本海と太平洋に分かれて流れますが、それが中央分水界。標高の高い山であることが多いため中央分水嶺と呼ばれるのが一般的ですが、実は世界一標高の低い中央分水界が北海道千歳市にあります。太平洋と日本海を分ける場所ながら、標高は20mに満たないという低地です。
世界一標高が低いと推測できる中央分水界
本来は山岳部にある分水界で、「分水嶺」といわれるのが一般的で、平野部に位置する分水界は、地質学上も生物学上も貴重な存在。
本来、分水嶺を隔てて気候も日本海側気候、太平洋側気候に分かれ、それに対応して植生もチシマザサ・チマキザサ(日本海側)、ミヤコザサ・スズタケ(太平洋側)とというような植物分布の相違も生み出しています。
本州で最も標高の低い中央分水界は、丹波市氷上町石生地区(ひかみちょういそうちく)にあり、水分れ公園も整備されています。
高谷川の自然堤防上につくられた道路の真ん中が中央分水界になっていて、石生交差点あたりで標高95.45mという低さです。
丹波市では「日本一低い分水界」を標榜し、多くのブログではそれを写してしまっていますが、実際は世界一ともいえる低さの中央分水界が北海道千歳市にあります。
北海道千歳市は、日本海への石狩川と太平洋に流れ出る美々川(びびがわ)を分ける中央分水界で、
標高20m以下でこれが「日本一」いや、「世界一」。
実際に「ここが! 中央分水界」という表示もありませんが、地図上で調べると、なんと新千歳空港あたりが世界でもっとも標高が低い中央分水界(ただし正式な調査データはありません)ということがわかります。
日本山岳会の百周年記念事業で行なわれた中央分水嶺踏査では、「標高の低い分水界は、本州の中では、兵庫県内、福知山線の通っている石生地区(95m)で、太平洋側は加古川、日本海側は由良川へと水系を分けている。日本全士でみると最低地点は北海道内、千歳空港滑走路上の20mである」と結論づけています。
残念ながら日本一標高の低い中央分水界は立入禁止区域なので、離着陸時に新千歳空港の滑走路上の飛行機の機内にいる際には、「日本一標高の低い中央分水界」をぜひ実感してください。
【地図を旅する】vol.11 世界一標高の低い中央分水界は、北海道千歳市にある! | |
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