埼玉県熊谷市、熊谷駅近くに建つ八木橋百貨店。今では珍しい、御当地百貨店(御当地デパート/日本百貨店協会加盟)ですが、珍しいのは1階フロアに中山道が貫通していること。商業施設の中を街道が貫通する例は、全国的にもここだけ。八木橋百貨店は、埼玉県で最初に生まれた百貨店です。
平成元年3月に中山道を取り込んだデパートに!
明治30年6月、現在地に初代・八木橋本次郎が八木橋呉服店を創業したのが始まり。
当時の熊谷町(現・熊谷市)は、養蚕業と製糸業で栄え、蚕都熊谷とも称されていました。
明治時代に熊谷では生繭販売が増加、横浜港から海外に輸出、明治16年には上野駅〜熊谷駅に日本鉄道が開通しています(現在の東北本線)。
片倉工業最後の片倉石原製糸所も熊谷に置かれ(明治40年)、山一林組熊谷製糸所も設置(明治33年)されるなど、発展していたのです。
鉄道の開通後も中山道の熊谷宿は、商業地としても栄えましたが、その代表格が八木橋呉服店。
旧熊谷宿本陣は、八木橋呉服店の南東側にあったので、宿場の中心地だったことがよくわかります。
昭和36年に百貨店となり、昭和46年に地下1階・地上7階の新店舗が完成しますが、当時の店舗は中山道を挟んで南北に店がありました。
平成元年3月に地下1階・地上8階のデパートに増床工事を行なっていますが、その際に、中山道の位置をそのままに、公共通路として取り込むことを条件に、中山道を覆う形で建物を築くことが認められ、現在の形が生まれたのです。
営業時間外は閉鎖されてしまいますが、営業時間内であれば、デパート内で中山道の旅を楽しむことができます。
【地図を旅する】vol.30 中山道がデパートの中を通過! 八木橋百貨店 | |
名称 | 八木橋百貨店/やぎはしひゃっかてん |
所在地 | 埼玉県熊谷市仲町74 |
関連HP | 八木橋百貨店公式ホームページ |
電車・バスで | 秩父鉄道上熊谷駅から徒歩5分。JR熊谷駅から徒歩15分 |
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