梅林でよく見かける緑色の鳥、「梅にウグイス」(梅に鶯)という言葉どおりに、ウグイスと思っている人も多いのですが(SNSなどでもそう発信している例が多々)、よく見ると目の周囲が白い鳥で、これはメジロです。「梅にウグイス」は、あくまで春を告げるものの例えで、梅林でウグイスを見かけることはまずありません。
実は山手線の色が鶯色というのも大きな間違い!
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実は山手線の鮮やかな緑色を鶯色(うぐいすいろ)と錯覚している人も多く、それが原因で、ウグイスは鮮やかな緑色をしていると思い込み、梅に止まっている緑の鳥は、「梅にウグイス」で間違いないということになるのです。
まず、鶯色と通称される山手線のカラーは、国鉄が定めた色名では黄緑6号。
RGBでは、Red123、Green171、Blue79の割合で、国鉄所有コンテナの標準色にもなっていました。
鉄道関係の雑誌やサイトでも「103系電車は、山手線で鶯色のカラーリングが初採用された車両」などと解説されているため、山手線=鶯色という誤解が生まれています。
実際の鶯色は、灰色がかった緑褐色で、イメージ的には抹茶色。
RGBでは、Red145、 Green141、Green64で配分でも赤みが強いことがわかります。
茶系の色が流行した江戸時代に誕生した色名で、もともとはウグイスの羽を忠実に再現したもの。
梅にウグイスでいえば花札の梅にウグイスが止まる札がありますが、花札に描かれたウグイスが、鮮やかな緑色のため、メジロをウグイスと間違えていたという説もあります。
奈良時代の天平勝宝3年(751年)に完成した日本最古の漢詩集『懐風藻』にも梅とウグイスが登場し、『万葉集』にも梅とウグイスを詠んだ歌が13首もあります。
実は「梅にウグイス」は、梅に止まっているウグイスのことではなく、あくまで取り合わせのいいもののたとえで「梅とウグイス」と同義。
つまりは、春の訪れを告げるのは、梅の花と鶯の声ということを表しています。
つまりウグイス、メジロなどを鳥かごで飼育した時代の人たちが、ウグイスとメジロを見間違うわけもなく、よく見ると花札に描かれた鳥も、目の周囲が白くないので、ウグイスに間違いありません。
色が鮮やかなのは表現として鮮やかにしたかったのだろうと推測できます。
ウグイスの生息場所は人目につかない藪(やぶ)が多く、しかも虫を捕食するので、梅林ではまず見かけることはありません。
対するメジロはスズメの仲間で、雑食性ではあるものの、花の蜜や果実が大好物で、花の少ない春先には梅林や河津桜などの早咲きの桜に集まってくるのです。
しかも群れで行動するので、梅林で見かけるのは確実にこのメジロなのです。
花札や歌川広重などの浮世絵に『梅に鶯』が描かれ、『万葉集』に詠まれるのは、あくまで春を愛でる気分からの想像上の産物。
実際に写真に撮ろう、スケッチしようと梅林に出かけてもまずウグイスに遭遇することはありません。
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梅林で見かける緑色の鳥、「梅にウグイス」ではなく、メジロだった! | |
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