気象庁・火山噴火予知連絡会が、活火山(過去1万年間に火山活動が認められるもの)に認定するのは、北方領土を含めて111あります。そのうち、もし爆発すると日常生活に影響を与えかねない「ノーマークの知られざる活火山」12を紹介(離島部は含まれません)。なかには有名な温泉地も! 要チェックです。
北海道・東北
天頂山|北海道
噴火予報:レベル1(活火山であることに留意)
内容:2011年の活火山の見直しで新たに追加された標高1046mのピーク
知床半島中央部、羅臼峠近くにある比高300mほどの丘で、地元でも知る人は少ない活火山
羅臼湖・三の沼などへのトレッキング途中に見上げることができます
山頂部 に北東~南西方向に配列する延長 1800mの火口列があるのが特徴ですが、登山道はありません
火山の歴史:1900年前に水蒸気爆発(あるいはマグマ水蒸気噴火、マグマ噴火)が起こり、爆裂火口が生まれましたが、現在は噴気はありません
丸山|北海道
噴火予報:レベル1(活火山であることに留意)
内容:十勝の北部、東大雪山系の一角にそびえる標高1692.2mのピーク
十勝岳の噴火に呼応したかのような平成元年の地震までは、火山学者の間でもほとんどノーマークの活火山だった山
火山の歴史:明治31年12月2日に中規模な水蒸気噴火があり、第一火口を形成
鳴子|宮城県
噴火予報:レベル1(活火山であることに留意)
内容:直径7kmのカルデラ(輪郭は不鮮明)と中央の溶岩ドーム群からなる火山
酸性の火口湖・潟沼とその西側の溶岩ドームでは今も活発な噴気が上がっています
火山の歴史:潟沼西側の溶岩ドームは、1万2000年ほど以前から活動を開始、周辺には鳴子火山から5400年前以降に噴出した火山灰も確認されています
地熱も高く2000年~3000年前に水蒸気噴火も発生
有史以来は、承和4年(837年)、潟沼周辺で水蒸気噴火の記録があります
肘折|山形県
噴火予報:レベル1(活火山であることに留意)
内容:1万年ほど前に火山活動があったと推測される比較的新しい火山で、内径2km、外径3kmのカルデラを形成、カルデラの東端と中央部に温泉が湧出
火山の歴史:1万2000年前に活動を開始し、1万年ほど前に休息したと推測され、有史以来の火山活動は記録されていません(最新の噴火活動の年代は不明)
沼沢|福島県
噴火予報:レベル1(活火山であることに留意)
内容:会津盆地の南西にある小型のカルデラ火山で、中央に直径2km以上の沼沢湖カルデラがあります(5000年前の噴火で沼沢湖カルデラが形成)
惣山(標高816.3m)、前山(835.4m)は、溶岩ドーム
火山の歴史:11万年前のプリニー式噴火(富士山の宝永大噴火はプリニー式噴火)に始まり、数万年間隔でプリニー式噴火とデイサイト溶岩ドームの形成を繰り返し、5000年前の噴火で沼沢湖カルデラが形成
有史以降の火山活動は記録されていません
関東・中部

高原山|栃木県
噴火予報:レベル1(活火山であることに留意)
内容:カルデラ火山(塩原火山)とその中央火口丘(明神岳、前黒山 )、さらに南部の円錐火山(釈迦岳火山=釈迦ヶ岳、西平岳、鶏頂山、剣が峰)からなる成層火山
富士山近くの新湯では噴気活動があります
火山の歴史:50万年前に開始し、10万年前頃にはおもな活動を終止
6500年前に北側で割れ目噴火が発生し、割れ目火口の上に富士山溶岩ドームを形成
横岳|長野県
噴火予報:レベル1(活火山であることに留意)
内容:八ヶ岳火山列北端に位置する厚い溶岩流と溶岩ドームからなる火山
東西4km、南北2kmの小規模な火山ですが、登山者の多くが活火山であることを知りません
火山の歴史:600年~800年前に溶岩流の流出を伴う噴火があったことがわかっています(その時の噴火で八丁平溶岩が流出した可能性も)
アカンダナ山|長野県・岐阜県
噴火予報:レベル1(活火山であることに留意)
内容:長野県松本市と岐阜県高山市の境、安房峠の北西にそびえる2109.43mのピーク
三等三角点のある山頂は溶岩ドームです
南東の安房山との鞍部が、安房峠で、峠からの登山道もないため、ほとんど無名の存在
平成15年の活火山見直しで焼岳とは別に新たに活火山の仲間入りをしました
火山の歴史:およそ1 万年前から火山活動を行なう、新しい火山
有史以来記録に残る火山活動はありません
中国・九州
阿武火山群|山口県
噴火予報:レベル1(活火山であることに留意)
内容:山口県北西部の萩市、阿武町、山口市に分布する40あまりの火山体で構成
空中高く噴き上げられたマグマのしぶき(スコリア)が降り積もってできた丘が笠山(ヤブツバキの自生地で有名)です
火山の歴史:活動は200万~150万年前の前期と 80万年前以降の後期 に区分されますが、直近の活動が椿自然林でも知られる笠山の火山活動で、8800年前のストロンボリ式噴火でスコリア丘が形成されています
米丸・住吉池
噴火予報:レベル1(活火山であることに留意)
内容:錦江湾北岸・姶良市(あいらし)の平野部に位置するふたつの凹地
マグマ水蒸気爆発によって形成されたマール(円形の火口)
火山の歴史:米丸は8000年〜8100年前、温暖な縄文時代に起こったマグマ水蒸気爆発で誕生した火口の跡
火口湖らしい雰囲気を残す住吉池は、米丸の爆発に先立つ8200年前の水蒸気爆発で誕生した火口
若尊|鹿児島県
噴火予報:レベル1(活火山であることに留意)
内容:錦江湾北部の姶良カルデラ(あいらかるでら)内にある、二重カルデラ部分が若尊カルデラ(わかみこかるでら)で、若尊鼻の先にある海底火山です
地元のメディアですら取り上げられることのない、忘れ去られた活火山、ノーマーク火山
火山の歴史:平安時代初期に編纂された勅撰史書『続日本紀』(しょくにほんぎ)の天平宝字8年(764年)12月の記事に、噴火によって3つの島が誕生したとあり、それに続けて宝亀9年(778年)12月、「神造島に大穴持神を祀った」と記されているので、奈良時代には海底火山の噴火があったことが判明しています
地元の漁師が「たぎり」と呼ぶ現象を確認し、火山性のガスや熱水の噴出があることが確認されています
池田・山川
噴火予報:レベル1(活火山であることに留意)
内容:直径4kmの池田カルデラ(池田湖はカルデラ湖)と、松ヶ窪マール、 池底マール、鰻池マール、山川マールのマール群(マール=水蒸気爆発またはマグマ水蒸気爆発で形成された円形の火口)、さらに池田カルデラ南縁の鍋島岳溶岩ドームなどの総称
火山の歴史:6400年前に現在の池田湖付近から激しい水蒸気噴火が発生、その後スコリア(火山灰などの火山砕屑物)の放出、爆発的なプリニー式噴火、大規模な火砕流の噴出と続き、山体内が空洞化して陥没、カルデラ地形が誕生
山川湾は5700年前のマグマ水蒸気爆発で誕生した山川マールの東側の火口壁が浸食され、海水が侵入して湾となったもので、火口湖的な存在
噴火の危険は!? 「ノーマークの知られざる活火山」 12ヶ所をチェック! | |
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