和歌山県海南市にある天台宗の寺が善福院(ぜんぷくいん)。鎌倉時代初期の建保3年(1215年)、臨済宗を開いた栄西が廣福寺五ヶ院のひとつ、宝遊山廣福禅寺として創建。安土桃山時代には加茂氏の菩提寺として栄えましたが、明治の廃仏毀釈の荒波で釈迦堂が現存するのみとなっています。その釈迦堂は国宝。
禅宗様を今に伝える貴重な建物で国宝!
栄西建立という臨済宗の名刹でしたが、大旦那である加茂氏の没落にともない荒廃。
その後、高野山金剛峯寺を頼って高野山真言宗に転宗し、伽藍を修復。
近世になって紀州藩徳川家時代には、徳川家が帰依した天台宗に変わっています。
廃仏毀釈のあった明治初期までは五ヶ院のなかで、三ヶ院がありましたが現在は善福院のみ。
釈迦堂は臨済宗だった創建当初の禅宗様の仏殿を今に伝える貴重な建物。
堂内に安置する本尊の釈迦如来坐像の胎内の修理銘に嘉暦2年(1327年)の銘があり、釈迦堂の建立もほぼ同じ頃の再建だと推測されています。
方三間で本瓦葺き寄棟造り。
一見すると2階建てに見えますが、禅宗様の仏殿の特徴で、1層目は裳階(もこし)と呼ばれる庇(ひさし)です。
内部は、仕切りのない空間で、床をはらない土間(典型的な禅宗様)。
本瓦葺き寄棟造り、平行垂木など禅宗様式定着前の様式を保っています。
善福院の周辺には、紀伊徳川家の菩提寺・長保寺、鈴木姓の発祥の地でもある藤白神社(ふじしろじんじゃ=熊野古道藤代王子)もあるので、時間があれば寄り道を。
画像協力/和歌山県
名称 | 善福院/ぜんぷくいん |
所在地 | 和歌山県海南市下津町梅田271 |
関連HP | 海南市公式ホームページ |
電車・バスで | JR加茂郷駅から徒歩25分 |
ドライブで | 阪和自動車道下津ICから約4km |
駐車場 | あり/無料 |
問い合わせ | TEL:073-492-2188 |
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