円覚寺・舎利殿

円覚寺舎利殿

神奈川県鎌倉市、臨済宗円覚寺派の大本山の円覚寺(えんかくじ)。鎌倉五山第二位という名刹ですが、塔頭(たっちゅう=子院)の正続院にある舎利殿は、国宝。鎌倉はもちろん、神奈川県では唯一の国宝建築物です。正続院は、円覚寺を開山した南宋出身の無学祖元(むがくそげん/仏光国師)を祀る重要な塔頭です。

円覚寺境内奥、塔頭・正続院の境内に建つ

正続院の門前に「佛牙舎利塔」と書かれた石柱があり、表に「従大唐國能仁寺拝請」、裏に「寛政四年壬子十月十五日」、そして「征夷大将軍源実朝公」と刻まれています。
舎利殿には、実は佛牙舎利(ぶつげしゃり)、つまりは釈迦の歯が納められているそれを南宋から請来したのは源実朝であることがわかります。

入母屋造(いりもやづくり)、杮葺き(こけらぶき)で、鎌倉時代に禅宗とともに宋(中国)から日本に渡来した禅宗様建築です。
一見すると2階建てのように見えますが、1層目の屋根は、裳階(もこし)と呼ばれる庇(ひさし)で、単なるデザインというよりも雨除けの効果を期待した設計です。
上部がアーチ状にカーブしたベルのような形の火灯窓(花頭窓)が配されているのも禅宗様の典型です。
国宝に指定される舎利殿ですが、鎌倉時代の建築と推測されていましたが、形式が酷似する正福寺地蔵堂(東京都東村山市)が室町時代の応永14年(1407年)の建立なので、最近では15世紀前半の建築と考えられています。
さらに、創建当初からこの地にあったのではなく、相模国鎌倉郡西御門村(現・神奈川県鎌倉市西御門、来迎寺近く)にあった臨済宗の尼寺の太平寺(たいへいじ=鎌倉尼五山の第一位/16世紀後半に廃寺に)の仏殿を移築したことがわかっています。

通常は非公開で、正月3が日と11月3日前後に外観のみが公開されています。
通常は、舎利殿の前に立つ正続院の唐門から見学。

円覚寺・舎利殿
名称 円覚寺・舎利殿/えんがくじ・しゃりでん
所在地 神奈川県鎌倉市山ノ内409
関連HP 円覚寺公式ホームページ
電車・バスで JR北鎌倉駅から徒歩10分
ドライブで 横浜横須賀道路朝比奈ICから約7.7km
駐車場 周辺の有料駐車場を利用
問い合わせ 円覚寺 TEL:0467-22-0478
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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