広島県呉市は太平洋戦争当時、世界最大の戦艦だった「大和」を建造した地。呉海軍工廠(くれかいぐんこうしょう)の歴史を後世に伝えようと、2005年4月に開館したのが「大和ミュージアム」です。呉市が想定する以上に集客があり、2025年2月17日〜2026年3月31日まで休館して、リニューアル工事が行なわれます。
想定の4倍の見学者を集め、開館20周年でリニューアルへ
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2025年は「大和ミュージアム」にとっても開館20周年で、さらに戦後80年の大きな節目となる年で、なるべくなら記念行事などを行ない、さらにPRしたいのが本音でしょう。
しかし、来館者数が当初の見込みを大幅に上回る状況が続き、空調設備の能力不足や、混雑による安全面の課題が生じていました。
呉市としては「空調やエレベーターなどの更新時期を迎えたタイミングで」、総事業費47億1000万円を投じて、大幅なリニューアルに踏み切ったのです。
もともと「大和ミュージアム」は、公開初年度の年間来場者数40万人、2年目以降20万人と想定して設計されていますが、実際は初年度160万人、翌年度以降も80万~90万人が来館するという、想定の4倍もの入館者を集め、収容力以上の見学者がさまざまな問題を生んでいたのです。
この人気ゆえの「オーバーツーリズム」問題を解消するため、1階のエントランスホール内にあったミュージアムショップを館外に別棟として新築し、エントランス部分の混雑を緩和。
さらに来場者の半数以上が、目玉の展示物である戦艦「大和」の10分の1スケール模型がある1階しか見学しないため、呉海軍工廠の造船技術や、航空機開発をしていた広海軍工廠の技術が現代の工業に引き継がれていることを紹介する展示を3階に新設して、回遊性を高めようと考えているのです。
単なる見学施設ではなく、より深く軍港・呉と呉海軍工廠の歴史を知ってほしいという、涙ぐましい努力です。
休館中の対策も怠りなく、代替施設として休館となった2025年2月17日に、呉港の潜水艦ウォッチングポイントとして有名な「アレイからすこじま」前のレンガ倉庫群にある観光施設「澎湃館 」(ほうはいかん)に大和ミュージアム仮展示室を開設。
JR呉駅近くの「ビュー・ポートくれ」内には2月28日に「大和ミュージアムサテライト」をオープンさせ、さらに改修中の「大和ミュージアム」でも屋外に足場を設置し、ガラス越しに大和の模型を見学できるようにしています。
「休館していても動きは止まっているわけではなく、これまで公開されていなかった資料などもあるので、ぜひ楽しんでほしい」、「リニューアル後は、さらに興味深い展示が見られると思う」(「大和ミュージアム」)とのことです。
人気が出すぎて休館!? 呉市の「大和ミュージアム」がリニューアルへ | |
開催日時 | 2025年2月17日〜2026年3月31日休館 |
関連HP | 大和ミュージアム公式ホームページ |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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