2014年6月に「富岡製糸場と絹産業遺産群」として世界文化遺産に登録された富岡製糸場。首都圏に近い世界遺産ということもあって、メディアも取り上げ、登録初年度の年間入場者数は、なんと133万人を数えました。世界遺産熱が冷めた現在は年間36万人で、ピークの28%に留まっています。
三井財閥も関わった上信電鉄の敷設

JR高崎駅でローカル私鉄の上信電鉄に乗り換え、コトコトと揺られて37分、上州富岡駅で下車すると、駅前にあるのが群馬県立世界遺産センター「世界を変える生糸(いと)の力」研究所(略称「セカイト」)。
日本の近代化だけでなく、世界の絹産業の技術革新にも貢献したこと、そのシンボルである富岡製糸場がほぼそのままの姿で奇跡的に残されていることが、世界遺産登録の理由で、「セカイト」では、そうした明治時代の生糸生産の知識、横浜へと運ばれて、明治時代の対外貿易の主力だった生糸のことを学ぶことができます。
車で到達もできますが、上信電鉄の利用がおすすめなのは、現役の私鉄としては日本で4番目という明治30年開業という歴史を誇るから。
もともと高崎線も、鉄道によって横浜まで生糸・絹織物を運ぶことを目的に日本鉄道が敷設。
富岡製糸場ももともとは官設でしたが、明治26年三井家(三井財閥)に払い下げられたため、明治28年に誕生した上野鉄道(こうずけてつどう=上信電鉄の前身)にも地元資本に加え三井財閥も関わっています。
高崎駅と富岡、下仁田を結んで軽便鉄道(ナローゲージ)での鉄道開通は、三井財閥の運営となった2年後に開通しているのです。
生糸の搬出だけでなく、三井財閥の手によって近代化を目ざす生産体制に欠かせない機械類や人材も、横浜や東京から鉄道で搬入されたのです。
のんびり見学するなら、今がチャンス

「思った以上に空いていた」という感想をもらす人が多いのが現在の富岡製糸場。
実は商店街もシャッター商店街化し、富岡市の地下も6年連続で下落と、すでに世界遺産効果は感じられません。
群馬県では、草津温泉が訪日外国人観光客で賑わいをみせ、2024年度の観光客は、過去最多の400万人超え。
つまりは富岡製糸場はその10分の1にも届かない状況になっているのです。
屋久島、知床、京都、奈良などの世界遺産登録地には訪日外国人観光客の姿も見かけますが、富岡製糸場は入場者数の1%という状況。
逆にいえば、「訪日外国人観光客がほとんどいない、世界遺産登録の地」ともいわるわけで、今ならのんびりと、日本の近代化を学べることに。
夏休みの宿題対策などにも絶好で、実際に訪れると、目からウロコの意外な発見も多数あります。
リピーターを獲得する魅力に欠ける、周回するスポットが群馬サファリパークなど限られているなどの課題はあるものの、全農グループ経営の上州牛の美味しい焼肉店「焼肉あぐり かぶら苑」もあるなど、探せば魅力的なグルメスポットも。
軽井沢と結ぶ手もあるので、夏旅、秋旅の候補地に、ぜひ。

世界遺産「富岡製糸場」入場者数はピーク時の28%に! 見学にはチャンス! | |
所在地 | 群馬県富岡市富岡1-1 |
場所 | 富岡製糸場 |
関連HP | 富岡製糸場公式ホームページ |
電車・バスで | 上信電鉄上州富岡駅から徒歩11分 |
ドライブで | 上信越自動車道富岡ICから約3km |
駐車場 | 富岡駅東駐車場(無料)、宮本町駐車場(有料)、上町駐車場(有料) |
問い合わせ | 富岡製糸場 TEL:0274-67-0075 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |