愛岐トンネル群

愛岐トンネル群

愛知県春日井市、岐阜県多治見市にまたがる愛知・岐阜県境部分に残される国鉄中央本線(廃線)のトンネル群が、愛岐トンネル群。明治時代に建設された14基あったトンネルのうち、13基が現存し、愛知県春日井市の4基(経済産業省の近代化産業遺産)は春秋に限定公開されています。

春日井市内の4基は、近代化産業遺産にも認定

明治33年7月25日、官設鉄道(中央西線)名古屋駅〜多治見駅の開業に伴い、高蔵寺駅〜多治見駅間には、庄内川(土岐川・玉野川)の断崖を避け、トンネル14基が築かれました。
当初、鉄道省は内津峠直下をトンネルで抜けるルートを計画していましたが、周辺の養蚕農家が蒸気機関車の煤煙被害を懸念したため、庄内川沿いの渓谷を連続するトンネルで抜けるコースが選ばれたのです。

現存する明治時代のレンガ製トンネル群としては国内最大規模ですが(碓氷トンネル群1500万個を超える1850万個のレンガを使用)、昭和41年に中央本線の複線化、新線移設により、旧線部分の14基のトンネルは廃止され、その後は、知る人ぞ知る歴史の遺物になっていました。

平成18年、愛岐トンネル群としての再評価が行なわれ、平成21年にNPO法人「愛岐トンネル群保存再生委員会」が結成されて、保存と整備が始まりました。
ナショナルトラスト運動によって、愛知県多治見市内の16haが買い上げられ、「愛岐トンネル群保存再生委員会」の所有に。
さらに経済産業省の近代化産業遺産にも選定されています。

愛岐トンネル群保存再生委員会が所有し、保全活用しているのは、定光寺駅から愛岐道路・諏訪大橋までの間にある旧中央線玉野第3隧道、玉野第4隧道、隠山第1隧道、隠山第2隧道の4基で、通常は3号トンネル(76m)、4号トンネル(75m)、5号トンネル(99m)、6号トンネル(333m)と呼ばれています。
このうち、玉野第3隧道(3号トンネル)、玉野第4隧道(4号トンネル)は国の登録有形文化財に指定。
4号トンネルと5号トンネルの間、谷をまたぐ笠石洞暗渠も国の登録有形文化財に指定されています。

愛岐トンネル群のなかで、もっとも難工事だったのは、全長333mの隠山第2隧道(6号トンネル)です。

経済産業省の近代化産業遺産は、「山岳・海峡を克服し全国鉄道網形成に貢献したトンネル建設等の歩みを物語る近代化産業遺産群」として、戦前の主要鉄道トンネル(清水隧道、笹子隧道、旧柳ヶ瀬隧道、旧逢坂山隧道東口、関門鉄道トンネル)、旧信越線碓氷峠の関連遺産(碓氷峠の隧道・橋梁群)、奥羽本線板谷峠のスイッチバック(大沢駅・峠駅・板谷駅スイッチバック遺構)、JR肥薩線の関連遺産(大畑駅周辺のループ・スイッチバック線)とともに選定。
「旧国鉄中央線の隧道群」として選定されているのは、現存13基のうち、玉野第3隧道(3号トンネル)、玉野第4隧道(4号トンネル)、隠山第1隧道(5号トンネル)、隠山第2隧道(6号トンネル)の4基のみで、NPO法人「愛岐トンネル群保存再生委員会」の地道かつ精力的な活動が実を結んだもの。

ちなみに、碓氷峠トンネル群(群馬県)、旧北陸線トンネル群(福井県)と並び、日本三大廃線トンネル群とも呼ばれています。

愛岐トンネル群
愛岐トンネル群
名称 愛岐トンネル群/あいきとんねるぐん
所在地 愛知県春日井市玉野町地内
関連HP NPO法人愛岐トンネル群保存再生委員会公式ホームページ
電車・バスで JR定光寺駅から徒歩5分(特別公開時のみ)
駐車場 なし
問い合わせ NPO法人愛岐トンネル群保存再生委員会 TEL:080-9492-5458
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
愛岐トンネル群

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