日本の巨木 ベスト10

日本国内の巨木・巨樹は環境省の「巨樹・巨木林データベース」が基本。ところが、北金ヶ沢のイチョウ(青森県深浦町)のように、平成7年に民間団体が雑誌に発表してから、調査が入り「日本第3位の巨木」と判明したものも。今回は環境省自然環境局生物多様性センターなどの「幹周り」の調査報告をベースに、ベスト10を紹介します。

胸高130cmで計測した幹周りの日本の巨木ランキングを紹介

巨木、巨樹といっても、その計測方法に国際的な基準はありません。
測る位置も、根回り、胸高(120cm)、目通り(150cm)といろいろ。
しかもヨーロッパでは、日本人よりも背が高い関係から、胸高を4フィート3インチ(130cm)としているのです。

木にはコブ、空洞などの凹凸もあるので、同じ計測方法で測らなければ、全国のランキング、樹種別・地域別の比較などはできません。

環境省の「巨樹・巨木林データベース」での調査方法は、地上から130cmの高さで、計測しています。
これはヨーロッパ人の胸高で、いわゆる国際標準。
対象は幹周りが300cm以上の巨木です。

地元の山に、まだ、知られざる巨木が眠っているかもしれないので、心当たりのある人は、この「地上から130cmの高さで、計測」で調べてみるのもいいかもしれません。
ひょっとして、大発見があるかもしれません。

そんな調査方法で、判明した目下のベスト10は以下の通りです。
「奥十曽のエドヒガン」(鹿児島県大口市)をランキングに加える場合もありますが、実際に「地上から130cmの高さで、計測」の大原則を当てはめると10.99mあまりしかありません。

なお、樹齢はあくまで推定、あるいは伝承に基づく推測値です。

1位 蒲生のクス

所在地:鹿児島県姶良市蒲生町上久徳2259-1/蒲生八幡神社
幹周り:24.22m
樹種:クスノキ
推定樹齢:1500年
内容:蒲生上総介舜清(かもうかずさのすけしゅんせい)が正八幡若宮(現・蒲生八幡神社)を創建した平安時代末期の保安4年(1123年)には、すでに御神木として祀られていたという巨木

蒲生のクス

環境省が行なっている全国の「巨樹・巨木林調査」で、栄えある巨樹ナンバーワンに輝くのが、蒲生のクス(かもうのクス/蒲生の大楠)。調査は、地上から130cmの位置での幹周りを調べるもので、蒲生のクスは24.22m。姶良市蒲生町の蒲生八幡神社の境

2位 来宮神社の大楠

所在地:静岡県熱海市西山町43-1/来宮神社
幹周り:23.90m
樹種:クスノキ
推定樹齢:2100年超
内容:一周すると寿命が1年延びるとか、願い事が叶うなどと信仰されてきました
備考:国の天然記念物としての名称は「阿豆佐和気神社の大クス」(あずさわけじんじゃのおおくす)となっていますが、天然記念物指定時(昭和8年)阿豆佐和気命神社(式内社)を名乗っていたため

来宮神社の大楠(阿豆佐和気神社の大クス)

710(和銅3)年創建という熱海の古社が来宮神社(來宮神社・きのみやじんじゃ)。その境内にある大楠は、幹周り23.90mで、日本第2位の巨樹。国の天然記念物としての名称は「阿豆佐和気神社の大クス」(あずさわけじんじゃのおおくす)となっていま

3位 北金ヶ沢のイチョウ

所在地:青森県西津軽郡深浦町北金ヶ沢塩見形
幹周り:22.00m
樹種:イチョウ(日本一のイチョウの巨木)
推定樹齢:1000年以上
内容:幹から垂れ下がっている乳房に似た形をしている気根に触れると、母乳の出がよくなると言い伝えられていることから、「垂乳根の公孫樹」とも
備考:例年11月中旬〜下旬が紅葉の見頃に

北金ヶ沢のイチョウ

青森県深浦町の北金ヶ沢駅近くにある樹齢1000年以上というイチョウの巨木。幹周りは22.0mで、実はこの大イチョウ、日本一のイチョウの巨木であるだけでなく、日本の巨樹第3位にランクイン。日本の巨樹はクスノキが多いのにもかかわらず、見事にイチ

4位 川古の大楠

所在地:佐賀県武雄市若木町川古7843
幹周り:21.00m
樹種:クスノキ
推定樹齢:3000年超とも
内容:奈良時代に、行基がここを訪れ、大楠の一部に像高2.4mの観音像を刻み、その頭部には六臂観音をはめ込んだという伝説が残されています

川古の大楠

国道498号沿い、武雄市若木町川古(かわご)の交差点近くにそびえるクスノキの巨樹が川古の大楠。樹齢は3000年を越えると推定され、高さ25m、枝張は東西27m、南北27m、幹回り21m、根回り33mという巨大さで、国の天然記念物に指定。緑の

4位  本庄の大クス

所在地:福岡県築上郡築上町本庄1641-1
幹周り:21.00m
樹種:クスノキ
推定樹齢:1900年(『日本書紀』には景行天皇の熊襲・土蜘蛛征伐が記されますが、その時に植えられたという伝承があり、その伝承をもとに樹齢を逆算)
内容:大空洞があるのは、明治34年に、空洞で寝泊まりしていた人の失火で燃えてしまったから
備考:中世には一帯は宇佐八幡宮の用材を調達する杣山(そまやま)でした

本庄の大クス

クスノキとしては全国3位、すべての樹種をあわせても全国4位という巨大なクスノキが、福岡県築上町(ちくじょうまち)の本庄の大クス(本庄の大楠)。環境省の調査では、幹周りは21.0m。日本一という「蒲生の大クス」(鹿児島県姶良市)と見比べても遜

6位 武雄の大楠

所在地:佐賀県武雄市武雄町武雄5335
幹周り:20.00m
樹種:クスノキ
推定樹齢:3000年超
内容:武雄神社の御神木で、老木のため、根元の内部は12畳分という広さの空洞
武雄神社は天平7年(735年)に現社地に遷座したと伝えられる古社です

日本の巨木 ベスト10

日本国内の巨木・巨樹は環境省の「巨樹・巨木林データベース」が基本。ところが、北金ヶ沢のイチョウ(青森県深浦町)のように、平成7年に民間団体が雑誌に発表してから、調査が入り「日本第3位の巨木」と判明したものも。今回は環境省自然環境局生物多様性

6位 衣掛の森(きぬかけのもり)

所在地:福岡県糟屋郡宇美町宇美1-1-1/宇美八幡宮
幹周り:20.00m
樹種:クスノキ
推定樹齢:2000年
内容:宇美八幡宮の御神木で、神功皇后が子(応神天皇)を出産の際、産衣を掛けられたと伝えられることが名の由来
一本の巨木ですがあまりに巨大なため、森に見えるというのが名の由来です

8位 柞原八幡宮の大クス

所在地:大分県大分市上八幡987/柞原八幡宮
幹周り:18.50m
樹種:クスノキ
推定樹齢:3000年
内容:柞原八幡宮は、宇佐八幡宮の分霊地で、豊後国一之宮
天長7年(830年)、延暦寺僧・金亀が宇佐八幡宮に千日参籠(当時は神仏習合)した際に、示現があり、大楠の立つ地に八幡大菩薩を祀ったことが柞原八幡宮の始まりとか

日本の巨木 ベスト10

日本国内の巨木・巨樹は環境省の「巨樹・巨木林データベース」が基本。ところが、北金ヶ沢のイチョウ(青森県深浦町)のように、平成7年に民間団体が雑誌に発表してから、調査が入り「日本第3位の巨木」と判明したものも。今回は環境省自然環境局生物多様性

9位 隠家森(かくれがのもり)

所在地:福岡県朝倉市山田97
幹周り:18.00m
樹種:クスノキ
推定樹齢:1500年超
内容:『筑前国続風土記』に「此の恵蘇町の辺に隠家の森とてあり。是は此関にて名のらざりし者をば通さざりける故、此森に隠れゐるよしいひ伝えたり」(朝倉の関所を通れなかった人が、森で夜になるのを隠れて待っていた)と記されるまさに森のような巨樹

10位 志布志の大クス

所在地:鹿児島県志布志市志布志町安楽1520/山宮神社
幹周り:17.10m
樹種:クスノキ
推定樹齢:1200年
内容:天智天皇御手植えとの伝説もある巨木で、基部の内側は大きな空洞に
山宮神社は和銅2年(709年)創建と伝えられる古社

10位 大谷(おおたに)のクスノキ

所在地:高知県須崎市大谷/須賀神社
幹周り:17.10m
樹種:クスノキ
推定樹齢:2000年
内容:四国最大級のクスノキで主幹には空洞があり、楠神様が祀られています
祈願すれば病弱な人も健康になるとの伝承も(楠神様の祠は空洞の中にあり、参拝者は中に入って祈願)

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