2025年5月16日(金)、文化審議会は、南禅寺水路閣などを国宝にするよう文部科学相に答申しました。「琵琶湖疏水施設」は、明治維新の東京奠都(とうきょうてんと)による京都の衰退を防ぐため、琵琶湖から京都へ長大な運河・琵琶湖疏水を開削、その運河や発電所などの関連する施設です。
5ヶ所が国宝に、さらに16ヶ所が国の重要文化財に

琵琶湖疏水は、第3代京都府知事の北垣国道(きたがきくにみち)が、東京奠都後の京都の衰退を防ぐため、琵琶湖の湖水を滋賀県大津市から京都府京都市に流し、灌漑、水車の動力、舟運による輸送手段として計画、国家的なプロジェクトとして西洋の土木建築技術を取り入れて建設したもの。
明治18年に第一疎水(大津〜鴨川合流点間)が着工、明治23年に゙完成しています。
計画段階ではなかった日本初の営業用水力発電所となる蹴上発電所も建設され、明治28年には京都〜伏見に日本初の路面電車(京都電気鉄道)も開通しています。
明治24年には蹴上発電所の電力を利用し、南禅寺〜蹴上間に蹴上インクラインと呼ばれる傾斜鉄道を設置。
運河の落差がある場所で、このインクライン(傾斜鉄道)を使って台車に船を載せ、運んでいました。
開通から十数年は舟運にも活用されましたが、鉄道開業後は衰退、蹴上インクラインも昭和23年に稼働を終えています。
琵琶湖疏水は、「明治日本における都市基盤施設の金字塔」といわれ、「近代京都の景観を育んだ琵琶湖疏水の代表的な遺構として深い文化史的意義が認められる」ことから琵琶湖疎水のトンネル部分である第一隧道、第二隧道、第三隧道と南禅寺水路閣、インクラインが国宝に。
「近代京都の形成に大きく寄与した長大な運河とその関連施設」として大津閘門・堰門、大津運河、第五隧道、第六隧道、蹴上発電所旧本館など「琵琶湖疏水施設」19ヶ所が国の重要文化財に指定されることになっています。

国宝(5ヶ所) 文化審議会の答申内容
琵琶湖の湖水を京都へ疏通し、舟運、灌漑(かんがい)、防火、発電、水道といった多岐の機能を果たす長大な運河の構成施設。西洋技術の習得過程にあった明治中期において、当時の土木技術の粋を集めて築かれ、世界的に高い評価を得た類い希なる構造物であり、明治日本における都市基盤施設の金字塔。自然と人工、伝統と近代の景観が織りなす京都の比類ない風致を育んだ琵琶湖疏水の代表的遺構であり、文化史的意義も極めて深い。また、近代の土木構造物としては、初めての国宝となる。
重要文化財(16ヶ所) 文化審議会の答申内容
琵琶湖の湖水を京都へと疏通する長大な運河とその関連施設。舟運、灌漑(かんがい)、防火、発電、水道等の都市近代化に係る多岐にわたる機能を集約した大規模な施設。特に新技術を積極的に導入し、建設当時我が国最長規模を誇った第一隧道は、近代トンネルの規範的存在。明治維新後に衰頽した京都の再興を支えた、京都の近代化を象徴する都市基盤施設。

南禅寺水路閣など「琵琶湖疏水施設」5ヶ所が国宝に! | |
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