【達人のおすすめ】知床岬に上陸してビーチクリーン

2015年は知床国立公園50周年、世界自然遺産登録10周年の記念すべき年でした。
世界自然遺産、そして知床国立公園の特別保護地区に指定され、その貴重な環境を守るために動力船による上陸を禁止されている知床岬。では知床岬突端に立つにはどうすればいいのかといえば、知床半島南側(根室海峡側)の羅臼町相泊港から海岸沿いにテクテクと歩く方法。ところが地元羅臼の人が「北アルプスの縦走路より厳しい悪路が待っている」という難関コース。海岸沿いの断崖をよじ登ったりくだったり。時には入江を泳いで渡るようなケースもあるのだとか。そんなわけで、陸路での知床岬到達はまず無理なのです。

「知床岬クリーン作戦」とは?

2014年の知床岬クリーン作戦の様子
2014年の知床岬クリーン作戦の様子

特例として上陸が認められているのがNPOしれとこラ・ウシと羅臼町が実施する「知床岬クリーン作戦」。ふだんはホエールウォッチングに活躍するアルラン3世号をチャーターして、知床岬突端近くの文吉湾(波の状況がよければ敬吉湾)に船を繋船。そこから海岸沿いに徒歩でひたすら歩いて、ビーチクリーン。環境に影響を与えるようなペットボトルだの、発砲スチロールの箱、さらには大漁の漁網などをクリーンアップするものです。
主催するNPOしれとこラ・ウシの湊謙一理事長によれば、
「海岸部への立ち入りは海上保安庁。海岸部を歩きますが、草や木が生えている場所への立ち入りは林野庁の入林許可、さらに国立公園ということで環境省の許可を得て、細心の注意を払って上陸することになります」
とのこと。たとえば、上陸することの環境負荷と、ゴミを拾うことによる環境改善のどちらが大きいか、ということも重要なポイント。環境負荷を最大限に軽減しながら、最大の効果を発揮したいというのがNPOしれとこラ・ウシと羅臼町の考えなのです。
ですから、船に乗船する前には長靴に履き替え、さらに長靴も丁寧に洗浄します。
「知床岬には、釣り人などによってオニアザミなど外来種が持ち込まれて繁茂しつつあります。ビーチクリーンをする際に、外来種を持ち込まないように、NPOが用意した長靴に履き替えてもらい、さらに洗浄して乗船してもらいます」
と湊さん。
さらに、
「携帯電話も通じない場所なので、衛星携帯電話を持参します。熊も出没しますから熊除けスプレーなど熊対策も必要になります」と万全の構え。
それでも海岸沿いには当然道はなく、玉石の浜や岩礁地帯を飛び石を伝って歩く場所もあるので、
「転べば骨折の危険もあります」
という、まさにボランティア精神と体力が兼ね備わっていないとできないビーチクリーンになっています。

ゴミを満載して知床岬を離れるアルラン3世号
ゴミを満載して知床岬を離れるアルラン3世号

2015年は6月上旬に実施

平成27年度(2015年)のビーチクリーンは、「半島周辺のゴミの堆積状況の調査による1回のみ」とのことで、
予定されている1回が2015年6月5日〜7日頃とのこと。(参加にあたっては浪の穏やかな日に実施のため、羅臼に数日滞在する必要があります)
「過去に知床岬クリーン作戦に参加したことのある人なので、参加希望の場合には、事前に問い合わせてほしい」(NPOしれとこラ・ウシ事務局)
とのことです。

知床岬は世界自然遺産に登録される「流氷を起点としたダイナミックな生態系」の起点ともなる場所。春先には複雑な入り江にサケの稚魚などが泳ぎます。
「実は知床岬がゴミだらけなんて、世界の人に申し訳ない! 何とかしたいんですが、予算も人出も足りなくて」
と湊理事長は嘆くのです。

問い合わせ・詳細は
NPO法人しれとこラ・ウシ事務局
注/知床岬クリーン作戦参加にあたっては条件があります。詳しい条件、費用等はNPO法人しれとこラ・ウシにお問い合わせください。

 

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