「房総横断鉄道」って何だ!?

千葉県の房総半島、東洋湾側の内房と、太平洋側の外房を結んで、鉄道が走っています。
内房の五井駅(市原市)と半島中央の上総中野駅(夷隅郡大多喜町)を結ぶ小湊鉄道(小湊鐵道小湊鉄道線)、外房の大原駅(いすみ市)と上総中野駅を結ぶいすみ鉄道です。

小湊鉄道(39.1km)、いすみ鉄道(26.8km)の線路は、上総中野駅でつながっていることから、国土交通省や千葉県は直通運転(相互乗り入れ)を検討してきました。この直通運転が実現すれば、文字通りの「房総横断鉄道」が実現するわけです。

ところが、実際に直通運転を検討すると、運転方式や細部(小湊鐵道は五井駅〜上総牛久駅間のみATSなど)が大きく異なることが判明しました。

小湊鐵道はもともと民鉄

小湊鉄道はもともと安田財閥に属し、現在は九十九里鉄道(九十九里鐵道)が筆頭株主になっています(相互に株を持ち合っています)。
大正13年、安田財閥(安田善次郎)の資金を元に、ボールドウィン社(アメリカ)から蒸気機関車を2台購入、大正14年3月7日、五井駅〜里見駅間が開業。昭和3年5月16日に五井駅〜上総中野駅の全線が開業しました。
社名に小湊鐵道とあるように、外房の安房小湊(あわこみなと)まで延伸する予定がありましたが、小湊駅側、上総中野駅側の工事に着手した後、昭和4年5月に資金難、清澄山の難工事予想などにより断念しています。
ちなみに大正14年に購入した蒸気機関車は、1号車(拓本番号57776)、2号車(拓本番号57777)ともに小湊鉄道五井駅に保存展示されています(千葉県の有形文化財)。

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いすみ鉄道はかつては国鉄木原線

対するいすみ鉄道は、JR東日本木原線の廃止に伴ってそれを継続するかたちで誕生した第3セクター。筆頭株主は千葉県になっています。
昭和5年4月1日、木原線大原〜大多喜間 (15.9km) 開業。昭和9年8月26日、大原〜上総中野間全通。

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というわけで、小湊鐵道は本来、内房と外房を結ぶ「房総横断鉄道」を目的に敷かれたこと、昭和9年には小湊鐵道といすみ鉄道の前身・国鉄木原線が上総中野駅で結ばれていたことがわかります。

平成17年になって、国、千葉県、そして沿線市町村、小湊鐵道、いすみ鉄道が「房総横断鉄道活性化協議会」を設立。
遅ればせながらも、「房総横断鉄道」を売りにして地域活性と鉄道の存続を図ろうと動き出したのです。

とはいえ、平成26年度の1日あたりの利用客数は小湊鐵道が3406人、いすみ鉄道が1078人と約30年間で半減!
存続が危ぶまれる事態になっているのです。

「房総横断鉄道」の誕生が無理でも、せめてきっぷだけでもと平成27年12月1日に発売されたのが、房総横断鉄道トコトコきっぷ
このきっぷ、単なる「トクトクきっぷ」ではなく、沿線住民の悲願も秘めていたのです。

関東一の秘境駅、いすみ鉄道・久我原駅

関東一の秘境駅、いすみ鉄道・久我原駅へ!

鉄道ファン、そして秘境駅愛好家のなかで、関東一の秘境駅との呼び声が高いのが、千葉県夷隅郡大多喜町にあるいすみ鉄道いすみ線・久我原駅(くがはらえき)。1日平均乗車人員も3人程度という無人駅で、駅には公衆トイレもないような状況です。「首都圏近く

 

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