猫好きの戦国三大武将は、秀吉と伊達政宗、島津義弘

猫好きの戦国三大武将

猫好きとして知られる戦国武将は、天下を取った豊臣秀吉を筆頭に、伊達政宗、島津義弘が有名で、この3人が記録に残る「猫好きの戦国三大武将」といえるでしょう。島津義弘は朝鮮出兵にも海を越えて猫を同伴。実は猫を愛したというだけでなく、戦場での活用法があったようで・・・。

島津義弘は朝鮮出兵に猫7匹を同伴

豊臣秀吉の猫好きは大河ドラマや映画などにも描かれていますが、浅野長政の文禄2年10月19日(1593年12月11日)付、野々口五兵衛宛の書状で、「黒猫1匹、虎毛を2匹飼っていると聞いた。虎毛のうち毛並みの良い方をしばらく貸していただけないだろうか」という主旨の手紙を出しています。

秀吉が飼っていた虎猫が、大坂城(現在の大阪城公園)の御殿から逃げ出し、探したものの捕まらないから、見つかるまで代用にという奇策に打って出たのです。
文禄2年(1593)は、淀殿が秀頼を産み、朝鮮出兵の文禄・慶長の役(壬辰戦争)の文禄の役の最中。

同種の虎猫で太閤秀吉の目を欺こうとしたのかは定かでありませんが、そんなことはすぐにバレるので、「似た猫を用意しました、なるべく早く見つけます」という努力を報告する手段だったのかもしれません(朝鮮出兵、秀吉の朝鮮渡航を諌めた際に、浅野長政は秀吉に刀を向けられています)。
この顛末は記録されていませんが、秀吉が大坂城で虎猫を飼っていたということだけが歴史に残されています。

「独眼竜」でダンディなイメージの伊達政宗ですが、伊達政宗が江戸幕府旗本(江戸幕府と伊達政宗の伝達役)・野々村四郎右衛門(ののむらしろううえもん)に宛てた書状(「島根県立古代出雲歴史博物館」所蔵)で、「子猫をもらいました。喉輪(首輪)もおしゃれで、一段と華やかに見えます。会ってお礼がしたい」旨を記しています。
「直接会ってお礼がしたい」は、当時の大名としては最大級の感謝で(通常は伝達役の家来が担当)、伊達政宗がかなりの猫好きだったことが推測できます。

「鬼島津」と呼ばれた島津義弘は猫好きだっただけでなく、猫を上手に活用しています。
朝鮮出兵の際、猫7匹を同行させているのです。
もちろん、戦場での慰めという面もありましたが、もうひとつ、時の鐘のない戦場で、時を知るために重宝したというのです。
猫の目は愛猫家なら常識ですが、猫の瞳孔は光に敏感で、暗い場所では瞳孔を大きく、明るい場所では瞳孔を縦長に細くして、網膜に到達する光の量を調節しています。
これはあくまで光量によるものですが、当時は夜になると瞳孔が開くと解釈していたので、猫の同行の開き方で時を判断したのです。
西洋では猫が眠れば海が穏やかに、騒げば海が荒れて時化(しけ)になり、猫は北を向くので磁石代わりになると信じられ、ネズミを退治するなど、航海の守神でもあったのです(国内でも希少なオスの三毛猫を船に乗せると福を呼ぶと考えられていました)。
鹿児島にはフランシスコ・ザビエルも上陸(父・島津貴久が面会)しているので、そうした知識があったのかもしれません。

朝鮮出兵で同行した猫の7匹うち、無事、鹿児島に戻ったのは2匹だけ。
この2匹は亡くなったのちに手厚く葬られ、島津家の別邸(現・仙巌園)に社が建てられているので、「鬼島津」は、実はかなりの猫好きで「猫島津」だったこともわかるのです。
無事に帰還した猫のうち、白地に黄色の波紋があった茶虎の猫「ヤス」は島津義弘の子、島津久保(しまづひさやす)が可愛がっていた猫で、今でも鹿児島(南九州)では茶虎の猫を「ヤス猫」と呼んでいます(島津久保は21歳の若さで朝鮮で病死)。

この朝鮮出兵の猫が祀られた社は、猫神社として現存し、猫の絵馬も用意されていますがこの絵馬もヤスと同じ白と黄色の猫。

南九州で「ヤス猫」と呼ばれる茶虎
猫好きの戦国三大武将は、秀吉と伊達政宗、島津義弘
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関ヶ原古戦場・島津義弘陣跡

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