桜島が爆発! 気象庁が「噴火」と「爆発」を使うのは鹿児島4火山だけ、その理由とは!?

気象庁は、姶良カルデラ(あいらかるでら)の南縁に位置する桜島(鹿児島県鹿児島市)は、2025年5月16日(金)〜17日(土)15:00に噴火が12回、爆発が11回発生したと発表。気象庁は噴火、爆発を使い分けていますが、実はこの使い分け、鹿児島県内にある4火山のみ。その理由とは!?

桜島は発表される「噴火」の定義すらオリジナル!

噴煙上げる桜島

桜島の南岳山頂火口からの噴火と爆発は、桜島市街からも視認され、とくに夜空に赤く燃える溶岩の流出は、恐ろしさすら感じるものでした。
鹿児島空港発着の航空機にも影響のある噴火と爆発でしたが、これまでのところ、とくに大きな被害は生じていません。

ニュースでも気象庁の発表をそのまま流すため、「桜島で噴火と爆発が起こりました」とアナウンサーが読み上げたりしますが、実は、鹿児島県民以外は、ほとんど知られていない、「噴火」と「爆発」の使い分け。
地元、南日本新聞にも「火山のニュースで聞く噴火と爆発はどう違うのか」という質問が寄せられるほどで、地元鹿児島県民でも正確に理解している人は稀(まれ)です。

気象庁・火山噴火予知連絡会は、「概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」を活火山と定め、111の火山が活火山と定められています(休火山、死火山という区分はなく、活火山と、それ以外の火山に区分)。

気象庁は火山の噴火を「火口から溶岩が流出する、もしくは火口の外へ火山灰等の固形物を放出する現象」と定義し、原則として、噴煙の高さ、噴石の飛散がそれぞれ100m〜300mを超えた場合を噴火とし、該当する場合は、噴煙の高さなどを記載した観測報を各地の気象台が発表する仕組みとなっています。

爆発は噴火の一種で、地下のマグマのなかに溶けていた気体や水分が急激に気化・膨張し、火山ガス、水蒸気、岩石物質などが勢いよく地表に噴出する現象で、爆発的噴火のこと。
地下水などが火山の中で熱せられて水蒸気となり古い溶岩と一緒になって爆発的に噴出する噴火が水蒸気爆発です。

気象庁では、2019年までは爆発とほぼ同義の「爆発的噴火」を含め3種類の表現を全国で使っていましたが、「学術的な定義があいまいで、誤解を生む」との理由で、原則「噴火」に統一。
つまり富士山や浅間山は、気象庁の発表では今後、「噴火」はあっても「爆発」はありません。

そんな気象庁にあって唯一の例外が、鹿児島県の4火山。
鹿児島県は、活火山数が全国の1割を占める活火山密集地帯で、桜島、諏訪之瀬島、新燃岳、薩摩硫黄島、口永良部島など11ありますが、噴火と爆発を使い分けているのは、桜島、諏訪之瀬島、霧島山、口永良部島の4火山だけ。

鹿児島地方気象台は「地元で定着している」と説明していますが、日常的に桜島の噴煙を目にする鹿児島市民は、「一生のうちで噴火を目にすることはまずない」という他地域の人とは、大いに環境が異なり、「音や噴石を伴うものを爆発と呼ぶことが住民にも浸透している」という地域特性があるのです。

しかも桜島と諏訪之瀬島は、噴火の発表基準も他の火山に合わせると、日常的に噴火発表が繰り返されることになるため、噴煙量が中量以上(噴煙の高さがおおむね1000m以上)と基準を大幅に緩めて噴火情報を発表しています。
そして鹿児島地方気象台の「爆発」の定義は、爆発地震を伴い、爆発音または体感空振または噴石の火口外への飛散を観測、または鹿児島地方気象台の空振計で3Pa(パスカル=圧力の単位)以上、あるいは桜島島内の空振計のいずれかで10Pa以上の空振を観測した場合に、「爆発」(爆発的噴火)と発表となっています。

鹿児島市民にとっては日常的な光景、まさに「東洋のナポリ」
桜島が爆発! 気象庁が「噴火」と「爆発」を使うのは鹿児島4火山だけ、その理由とは!?
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