福岡県嘉穂郡桂川町にある遠賀川流域最大で6世紀中頃に築かれた前方後円墳が王塚古墳。完全に復元されれば墳丘長86mで、濠が巡らされています。2つに分かれた石室の内部には、騎馬像、楯、連続三角文などが描かれた色鮮やかな装飾壁画があり、昭和27年に、国の特別史跡に指定されています。
ガラス越しに見学できるのは春と秋の公開日のみ
昭和9年9月30日、石炭採掘による農地の復旧工事に使用するための採土工事中に偶然発見された古墳で、鐙(あぶみ)など多数の馬具、変形神獣鏡、管玉(くがたま)・棗玉(なつめだま)・切子玉(きりこだま)などの装飾品、大刀・鉾(ほこ)・鉄鏃(てつやじり)などの武器、土師器・須恵器の土器類が出土しています。
残念ながら発見された際に行なわれていた採土工事で、墳丘の半分以上が失われています。
王塚古墳の壁画は、前室の両側壁以外、全面にわたってもっとも多く描かれている三角文のほか、騎馬像、同心円文、双脚輪状文、わらび手文、靫(ゆぎ=矢を入れて背負う道具)、大刀、楯が描かれ、色も赤・黄・緑・黒・白と鮮やかで、国内では最多の色数を駆使しています。
石室は前室と4人の被葬者を安置した後室からなり、前室には左右に計5頭の黒馬、赤馬が描かれています。
被葬者は、ヤマト王権と密接な関係のあった地元の大豪族だと推測できます。
527年に筑紫(つくし=現・福岡県)で勃発した「磐井の乱」に勝利したヤマト王権は、筑紫を拠点に九州の支配を固めています。
この地は、朝鮮半島への拠点でもあったことから、ヤマト王権は重要視していたのです。
現在は壁画保存のため、保存施設によって密閉されており、一般に公開されるのは気候の安定した春(4月)と秋(10月)の2回、2日間ずつ。
公開時に限り、石室壁画をガラス越しに見ることができます。
また古墳入口には「王塚装飾古墳館」があり、石室の実物大レプリカを中心に出土品を展示。
全国に15万基現存する古墳ですが、そのうち装飾古墳はわずか600基ほど。
国の特別史跡に指定されるのは、王塚古墳のほかには高松塚古墳、キトラ古墳(いずれも奈良県)だけということで、「日本三大装飾古墳」ともいえる古墳です。
遠賀川流域では、竹原古墳(国の史跡/宮若市)、川島古墳11号墳(福岡県の史跡/飯塚市)も装飾古墳です。
熊本県山鹿市には、有名な装飾古墳のチブサン古墳があり、菊池川流域の古墳を解説する「熊本県立装飾古墳館」も建てられています。
王塚古墳 | |
名称 | 王塚古墳/おうづかこふん |
所在地 | 福岡県嘉穂郡桂川町寿命376 |
関連HP | 王塚装飾古墳館公式ホームページ |
電車・バスで | JR桂川駅から徒歩10分 |
ドライブで | 九州自動車道八幡ICから約26km |
駐車場 | 50台/無料 |
問い合わせ | 王塚装飾古墳館 TEL:0948-65-2900/FAX:0948-65-3313 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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