福岡県柳川市にある黄檗宗(おうばくしゅう)の寺で、旧柳河藩主立花家の菩提寺が福厳寺(ふくごんじ)。柳河藩の藩祖・立花宗茂(たちばなむねしげ)ら歴代の藩主がここに眠っています。本尊は釈迦如来。もともとは曹洞宗でしたが、柳河藩3代藩主・立花鑑虎(たちばなあきとら) の時代に、黄檗宗に転じています。
旧柳川藩主立花家の菩提寺
もともとは筑前国、立花山麓にあった曹洞宗の寺、立花山養孝院(現・梅岳寺/福岡県糟屋郡新宮町立花)でしたが、天正15年(1587年)、立花宗茂(たちばなむねしげ)が柳河(現・柳川)に転封され城を構えたときに寺も移っています。
立花宗茂は、豊臣秀吉の配下として、島津氏と対立し(実父・高橋紹運は岩屋城の戦いで討ち死に)、秀吉の九州平定に助力した活躍が認められて、筑後国柳河13万2000石を領有、その時、菩提寺として福厳寺を創建しています。
慶長5年(1600年)の関ヶ原の合戦では、立花宗茂は家康の誘いを断り、西軍として参戦。
その後柳河に逃げ帰り、浪人となった後、長らく蟄居生活を送りますが、2代将軍・徳川秀忠の配下として棚倉藩(たなぐらはん/現・福島県棚倉町)藩主となり、大坂夏の陣に際して警固を担当、ついに元和6年(1620年)、柳河藩の初代藩主になって領地を回復しています。
この立花宗茂は、関ヶ原の合戦で西軍についた諸将のなかで、旧領を回復した唯一の例となっています。
山門は、中国風ではなく、柳河藩独特の四脚門。
本堂と向かい合って南側には天王殿が建ち、本堂の背後には柳河藩主家の御霊屋3棟が配されています。
歴代の藩主の墓塔12基は4基ずつ3棟の建物に安置。
福厳寺の寺宝としては、立花家歴代肖像画があります。
境内は、大林宣彦監督の映画『廃市』(はいし/昭和58年公開、主演・小林聡美)のロケ地となっています。
『廃市』は、「水の都イタリアのヴェニスに比類されるわたしの故郷」という福永武彦原作の小説の映画化です。
さらに境内には作家の長谷健(『あさくさの子供』で芥川賞)、檀一雄(『真説石川五右衛門』『長恨歌』で直木賞)、木村緑平(自由律層雲派の俳人)の墓もありますが、芥川賞と直木賞作家が同一墓地に立つのは非常に珍しく、文学ファンなら一度は参詣したい場所です。
1週間前までに予約をすると中国風精進料理の「普茶料理」(ふちゃりょうり)を味わうことができます(通常は1卓4名で昼食)。
福厳寺 | |
名称 | 福厳寺/ふくごんじ |
所在地 | 福岡県柳川市奥州町32-1 |
関連HP | 柳川市公式ホームページ |
電車・バスで | 西鉄柳川駅から西鉄バス沖端・御花前行きで7分、布橋下車、徒歩3分 |
ドライブで | 九州自動車道みやま柳川ICから約11km |
駐車場 | 15台/無料 |
問い合わせ | 福厳寺 TEL:0944 74 0033 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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