炭坑節発祥の地

炭坑節発祥の地碑

福岡県田川市伊田、筑豊炭田随一の規模を誇った三井田川鉱業所伊田坑の跡地に整備され、平成17年に開園したのが石炭記念公園。その石炭公園が、炭坑節発祥の地。「あんまり煙突が高いので♪」と歌われる高さ45.45mの伊田竪坑第一煙突、第二煙突も現存しています。

盆踊り曲としても有名な『炭坑節』は、ここで誕生!

炭坑節
この煙突が炭坑節に登場する煙突です

『炭坑節』の元歌となったのは、筑豊炭田のなかでも田川地方で歌われた『伊田場打選炭節』(『伊田場打撰炭節』)というのが定説。
選炭とは石炭とボタ(炭として使えない捨て石)を選別することで、主に女性が担った作業。
『炭坑節』というと男性ボーカルのイメージがありますが、元歌の『選炭節』は、歌詞も本来は、選炭作業に従事した際の労働歌で女唄(昭和8年までは、女性も炭鉱で労働)。
無名の炭坑労働者たちが自然発生的に歌い出したものだと推測されています。

筑豊炭田では『選炭唄』(『選炭節』)のほかにも、炭層をツルハシで掘るときにの「採炭唄」、発破採炭で火薬を詰める穴をタガネで掘削する際の「石刀唄」、石炭を引き上げるロクロを回すときに歌われた「南蛮唄」などの労働歌が誕生しています。

小野芳香著の、『田川地方 民謡・童謡研究集』(葦書房刊)によれば、明治43年、小野が勤務していた小学校の児童に「(『伊田場打撰炭節』を)一部改曲して試唱させ」、田川や小倉の花柳界で盛んに唄われたというのがルーツ。
大正14年に小野芳香が編纂した『福岡県田川郡民謡・童謡の研究』の中にも「炭坑節(伊田町三井炭坑唄)」として収録されています。

昭和7年、田川市後藤寺にあった後藤寺検番の歌二・後藤寺芸妓連の長尾イノら3人の芸妓が、『炭坑唄』というタイトルでレコード化し、さらに小倉の芸妓で歌手の赤坂小梅(あかさかこうめ)なども歌って広まっていきました。

筑豊炭田の発展とともに、その中心となったのが、三井田川鉱業所。
労働歌『炭坑唄』は、宴席に持ち込まれ、筑豊の炭鉱主たちが博多・小倉などの料亭で豪遊したことで、一気に全国に広まり、「戦後の復興は石炭から」という国策で、毎日のようにラジオで放送されたこともあって、普及。
盆踊りの定番ソングへと進化していきます。

『炭坑節』には多種多様な歌詞が存在しますが、田川地方で最もよく歌われた歌詞を『正調炭坑節』としているのです。

『炭坑節』が三池炭鉱で生まれたというのは大きな誤解で、『正調炭坑節』の歌詞にもちゃんと「月が出た出た 月が出た 三井炭坑の 上に出た」とあります。

炭坑節
炭坑節は労働歌として自然発生

正調炭坑節 歌詞

香春岳(かわらだけ)から 見下ろせば 伊田のたてこうが 真正面
12時下がりの サマちゃんが ケージにもたれて 思案顔
サノヨイヨイ

ひとやま ふたやま みやま越え 奥に咲いたる 八重つつじ
なんぼ色よく 咲いたとて サマちゃんが 通わにゃ 仇(あだ)の花
サノヨイヨイ

月が出た出た 月が出た 三井炭坑の 上に出た
あんまり煙突が 高いので さぞやお月さん 煙たかろ
サノヨイヨイ

格子窓から 月がさす サマちゃんの寝顔の 愛らしさ
はずした枕を すけさしょか 思案なかばに 明けの鐘
サノヨイヨイ

炭坑節発祥の地
名称 炭坑節発祥の地/たんこうぶしはっしょうのち
所在地 福岡県田川市伊田2734-1
関連HP 田川市公式ホームページ
電車・バスで JR・平成筑豊鉄道田川伊田駅から徒歩5分
駐車場 石炭記念公園駐車場(20台/無料)
問い合わせ 田川市建設経済部都市計画課 TEL:0947-85-7150/FAX:0947-46-0124
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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旧三井田川鉱業所・伊田竪坑櫓

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旧三井田川鉱業所第一煙突・第二煙突

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