北海道、十勝の中心・帯広から襟裳岬(えりもみさき)に向かう途中の広尾町。日高山脈から太平洋へと流れ出す美幌川(びほろがわ) の河口部に、干潮時にのみ現れる不思議な奇観が、緑の海岸。海岸にある玉石にアオノリが付着し、例年5月〜8月上旬頃まで緑の海岸となるのです。
初夏の干潮時にのみ出現する奇観「緑の海岸」
帯広側から襟裳岬を目指すと、広尾市街を越えて最初のビューポイントが、湧き出した地下水が道路脇に落ちるフンベの滝。
アイヌ語のフンペ(hunpe=鯨)を意味する地名で、このあたりに鯨が打ち寄せられることがあるから付いた地名です(寄せ鯨は貴重なタンパク源でした)。
フンべの滝を過ぎると、旅人は一路、襟裳岬や、ハート型の豊似湖を目指すため、緑の玉石がゴロゴロする海岸線に気づく人は皆無で、地元の人もほとんど知る人がいないので、観光的にも未知なる存在です。
玉石にアオノリが付着という現象はここだけに限ったものではありませんが、これほど見事な緑の海岸は、ほかにありません。
もっとも緑が鮮やかなのは6月中旬〜7月上旬、ちょうど湿原植物、ラベンダーなど北海道では花の開花期なので、干潮を見計らって寄り道するのもいいでしょう。
広尾町ではフノリが有名ですが、フノリ漁(岩場にびっしりと付いたフノリを採取)の際にアオノリも混じるのですが、アオノリは取り除いているので、漁業対象にはなっていません。
つまり、誰も採らないので、緑のままということに。
アオノリはたこ焼きなどに使われるアオサとは異なり、西日本ではかなり高級品(アオサの数倍の値)なのですが、北海道ではアオノリ(ウスバアオノリ、ボウアオノリが生育)は漁業の対象外で(昆布などと違い流通していないため市場で値がつかない)、見向きもされていないのです。
そんな地元では見向きもされないアオノリの茂る緑の海岸、目印となるのは国道336号の美幌川河口に架かる美幌橋。
「えりも43km、浦河76km」と美幌橋の表示があるので、これを見逃さないように。
川を渡った襟裳岬側の海岸はテトラポットが並んでいるので見学に不向き、橋の手前、美幌共同作業所の海岸側に降りるのがおすすめです。
【知られざる日本の奇観】北海道にある不思議な緑の海岸 | |
所在地 | 北海道広尾郡広尾町音調津 |
ドライブで | とかち帯広空港から約61km |
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