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暮坂峠

暮坂峠

群馬県中之条町の沢渡(さわたり)と六合(くに)を結ぶ県道中之条草津線(群馬県道55号)にある峠が暮坂峠で、標高は1086m。かつては草津温泉と中之条を結ぶ主要道で、強酸性の草津温泉から、仕上げの湯として柔らかい湯の沢渡温泉へと向かう湯治客で、江戸時代には大いに賑わったのだとか。

峠には『枯野の旅』牧水の石像も

暮坂峠にはマントを羽織った旅姿の若山牧水像(石像)や『枯野の旅』(随筆集「樹木とその葉」/大正14年)の歌碑も立っています。
自然主義的な短歌を詠んだ歌人、若山牧水は、旅好き、温泉好きとしても知られ、大正11年10月19日には、草津から小雨を経て沢渡温泉へと向かい、途中花敷温泉で1泊。
翌10月20日早朝に花敷温泉を出立し、沢渡温泉から四万温泉へと向かう途中に、暮坂峠を越え、長詩『枯野の旅』を詠んでいます。

『枯野の旅』では、「上野(かみつけ)の草津の湯より 澤渡(さわたり)の湯に越ゆる路 名も寂し暮坂峠」という名フレーズが残されています(牧水像の台座に刻まれています)。

毎年10月20日には、牧水詩碑保存会員が中心となり、『牧水まつり』も開催。
現在の若山牧水像は平成29年にお披露目された3代目で、昭和32年築造の初代は中之条町歴史と民俗の博物館「ミュゼ」に保存されています(昭和62年築造の2代目は銅像で盗難)。

また牧水の大正11年10月の旅日記は『みなかみ紀行』として大正13年に出版。
周辺を旅した2日間で、牧水は53の短歌と「枯野の旅」の詩を残しているのでよほど印象深かった旅路だったことがわかります。

現在は日本ロマンチック街道(長野県小諸市~栃木県日光市)の一部。

『みなかみ紀行』の行程

若山牧水は、大正11年10月14日、沼津の自宅を旅立ち、岩村田の佐久ホテルに宿泊(10月14日・15日)。中軽井沢・星野温泉(10月16日)、嬬恋温泉・嬬恋館(10月17日)、草津温泉・市井旅館(10月18日)、花敷温泉・関晴館(10月19日)に泊まり、10月20日に暮坂峠を越え、四万温泉・田村旅館泊。
さらに、沼田・鳴滝館(10月21日)、法師温泉・長寿館(10月22日)、湯宿温泉・金田屋(10月23日)、沼田・青池屋(10月24日)、老神温泉(10月25日)、白根温泉(10月26日)、丸沼・番小屋(10月27日)、日光湯元温泉・板屋旅館(10月28日)、中禅寺・米屋旅館(10月29日)、日光の友人宅(10月30日・31日)と旅しています。
これが、『みなかみ紀行』です。
暮坂峠を越えるときには雪景色で、牧水は、「やがてひろびろとした枯芒の原、立枯の楢の打続いた暮坂峠の大きな沢に出た」と記しています。

暮坂峠
名称 暮坂峠/くれさかとうげ
所在地 群馬県吾妻郡中之条町入山国有林内
関連HP 中之条町観光協会公式ホームページ
電車・バスで JR吾妻線中之条駅からタクシーで40分
ドライブで 関越自動車道渋川伊香保ICから約43km
駐車場 30台/無料
問い合わせ 中之条町経済産業課 TEL:0279-75-2111
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

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