あるときはバス、そしてあるときは鉄道。人呼んで「ガイドウェイバス」というのが、愛知県名古屋市、春日井市、尾張旭市を走る「ゆとりーとライン」。高架になった部分は、ガイドレールを備えた専用軌道を走るので、鉄道法の軌道扱い。そんな日本唯一の乗り物も2026年3月で誕生25年。そろそろ寿命となりそうです。
2026年度からの廃止・転換が検討

高架部分の専用軌道は、法規制上はトロリーバス(無軌条電車)と同じ扱いなので、まさに鉄道です。
高架部分以外は一般道路を走行することもできるので、「バス+鉄道」のいいとこどりともいえる存在です。
ただし、専用軌道部分もトロリーバスのように給電せず、ディーゼルエンジンで動くので、鉄道車両としては気動車(ディーゼルカー)ということに。
路線的には大曽根〜小幡緑地は高架部分の軌道、小幡緑地〜高蔵寺などの区間が一般道を走行するかたちです。
専用の高架部分では、前後輪の脇から小さな車輪状の案内装置が2本のガイドレールに接触して誘導するという特殊なスタイルのため(一般道では案内装置を完全に収納する必要があります)、開発までには多くの苦労があったのです。
車両の形状はまさにバスですが、その特殊性から、新型車両などの開発も行なわれておらず、整備の際の部品不足にも悩まされるようになるため、2026年度からの廃止・転換が検討されています。
開発したメーカーも日野、三菱ふそうで、日野はブルーリボンシティハイブリッドとブルーリボンシティ、三菱ふそうはエアロスターがベースとなっています。
大型路線バス車両を専用軌道を走るために大きく改良したわけですが、このシステムが全国展開しなかったことで、すでに開発を終了し、メンテナンスもままならない状況になりつつあります。
廃止・転換に踏み切る背景には、老朽化だけでなく、自動運転などの技術進歩もあり、名古屋市内では地元・トヨタなどによってさまざまな自動運転の実証実験が行なわれています。
この自動運転の手応えもあり、新たに車両を開発するよりもはるかに近道で、自動運転の開発には各社がしのぎを削っているので、その成果も活かせるのです。
名古屋市営バス大森営業所が運転を管轄するように、市営バスの波及タイプなので、将来は自動運転のバス転換するのが自然な流れかもしれません。
愛知が誇る「ガイドウェイバス」、案内軌条式鉄道なので、ゆりかもめ、札幌市営地下鉄東西線なども親戚といえるユニークな乗り物ですが、乗り納めの日が刻々と近づいています。


| バスのように見えて「鉄道扱い」の区間も! 間もなく誕生25年で、そろそろ寿命に | |
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