ターミナル駅とは、複数の路線が乗り入れて起終点となる駅。ターミナル駅の東の横綱が新宿駅、西は大阪梅田駅ですが、首都圏には「秘境ターミナル駅」ともいえるような駅も存在します。それが、浜川崎駅(神奈川県川崎市川崎区)で、JR南武線(南武支線)の終着駅で鶴見線が分岐しています。
もともとは埋立地の貨物ターミナル駅としてスタート



JR(国鉄)の鉄道駅は、東京駅=東海道本線、上野駅=東北本線というように、それぞれの駅に対しひとつの所属線が定められていますが、浜川崎駅は、意外にも東海道本線の所属。
なぜ、東海道本線の所属かといえば、東海道本線の貨物支線が通り(東京貨物ターミナル駅に通じています)、JR貨物の駅にもなっているからです。
歴史的には、鉄道院時代の大正7年5月1日、東海道本線貨物支線(当時は浜川崎駅が終着駅の盲腸線)の終着貨物駅として浜川崎駅が開設されたのが始まり。
大正15年3月10日、浅野財閥・浅野泰治郎(あさのたいじろう)が行なった東京湾埋立地(鶴見の浅野埋立地)への物資輸送のため、浅野財閥は、鶴見臨港鉄道を敷設、その貨物駅として浜川崎駅が開設されています。
さらに昭和5年3月25日、セメントに必要な多摩川の砂利を輸送するため、浅野財閥が南武鉄道を開業、その貨物駅ともなっています。
これが現在のJR南武線の前身で、歴史的には貨物ターミナル駅だったことがわかります。
旅客輸送がスタートしたのは、戦時下の昭和18年7月1日で、鶴見臨港鉄道が国有化、鶴見線となったことから。
昭和19年4月1日には南武鉄道も国有化され、南武線になっています。
もともと貨物ターミナル駅で、戦時下の鉄道国有化で旅客輸送が始まるという歴史を有しているのが、「秘境ターミナル駅」的な色彩の背景です。
鶴見線と南武支線のホーム間移動は、車道を渡る必要が!

秘境駅、「秘境ターミナル駅」といわれるのは、ターミナル駅ながら無人駅で、しかもSuica導入後には自動券売機も撤去され、初めてきた人は、その殺風景さに驚くことから。
さらに驚きなのは、ホームとホームの間に、車道があること。
南武線(1・2番線)と鶴見線(3・4番線)の駅舎・ホームは車道を挟んで離れていることで、「首都圏一筆書きの大回り乗車」(JRの「大都市近郊区間」では重複した路線がなく、途中下車しない限りは実際に乗車した経路にかかわらず最安となる経路で計算した運賃で列車に乗車できる特例)では、道路を渡って、途中下車した気分を味わいながら乗り換えるという異色の体験もできるのです。
逆にSuica利用者には注意が必要で、簡易Suica改札機に触れずに乗り換えなければ、いったん下車した扱いになってしまうのです。
鶴見線の駅(3・4番線)は橋上駅で、その下に南武線が直交するかたちで、相互の乗り入れはできません。
トイレも南武線側にしかないという不便な状況で、ここが川崎市内かと少し驚く、まさに「秘境ターミナル駅」となっているのです。
ちなみに1日平均乗車人員は、無人駅で非公開ですが、1日2000〜3000人と推測され、川崎駅の18万人超と比べると、その秘境感がよくわかる利用者数(周辺の工場への通勤者、定期利用者が大部分)となっています。

首都圏の「秘境ターミナル駅」、浜川崎駅 | |
所在地 | 神奈川県川崎市川崎区鋼管通り5丁目 |
場所 | 浜川崎駅 |
関連HP | JR東日本公式ホームページ |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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