兵庫県神戸市灘区にある沢の鶴酒造の酒蔵を利用した企業博物館が沢の鶴資料館。沢の鶴酒造は、享保2年(1717年)創業の老舗酒造メーカー。灘五郷の一つ西郷に本社がありますが、江戸時代末期築の大石蔵(収蔵物とともに兵庫県の有形民俗文化財に指定)を資料館として再生し、灘の酒造用具を製造工程に併せて展示公開しています。
歴史ある大石蔵で酒造の歴史・技術を学ぶ
沢の鶴酒造は、もともと藩米を取り扱う両替商でしたが(当時の屋号は「米屋」)、別家の米屋喜兵衛が副業で酒造業を創始。
米問屋がルーツのため、米と麹にこだわった純米酒が自慢の「沢の鶴」ですが、「沢の鶴」の商標である「※」印も創業者・米屋喜兵衛に由来しています。
資料館では兵庫県の重要有形民俗文化財の指定を受ける灘の三段仕込みで使用した樽など貴重な酒造り道具(181種2884点)を展示しています。
洗米作業をした洗い場、火入れに使った釜など工程ごとに昔から使われていた道具を展示し、使い方や名称をわかりやすく解説。
製造工程に合わせた展示で、麹室も再現されているので普段は入れない酒蔵を見学するような気分が味わうことができます。
酒を運んだ樽廻船、菱垣廻船(ひがきかいせん)の模型も展示され、灘の酒の流通の仕組みもわかります。
灘五郷(江戸時代は下灘郷・西郷・御影郷・魚崎郷・今津郷/現在は下灘郷が抜けて西宮郷が加わる)の酒は樽に詰められ舟運を利用して20日ほどで江戸へと運ばれていました。
品川沖に着いた酒樽は、天満船に積み替えられ、新川、新堀、茅場町の江戸酒問屋へと運ばれたのです。
酒蔵自体は平成7年の阪神・淡路大震災で倒壊していますが、平成11年に木造免震構造を使って見事に復興再建。
修復に伴なう発掘調査では、醪(もろみ)から酒を搾り取る作業場「槽場」(ふなば)が発見され、併せて公開されています。
隣接してミュージアムショップも併設され、沢の鶴資料館ショップ限定の生原酒も販売されています(試飲も可能、未成年と運転手などは不可)。
沢の鶴資料館 | |
名称 | 沢の鶴資料館/さわのつるしりょうかん |
所在地 | 兵庫県神戸市灘区大石南町1-29-1 |
関連HP | 沢の鶴資料館公式ホームページ |
電車・バスで | 阪神大石駅から徒歩10分 |
ドライブで | 阪神高速3号線摩耶ランプから約1km |
駐車場 | 13台/無料 |
問い合わせ | 沢の鶴資料館 TEL:078-882-7788/ FAX:078-882-6777 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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