神戸の居留地に隣接する雑居地、メリケン波止場(メリケン=アメリカの意)を前にする初代米国領事館の跡地に大正7年に建築された日本郵船神戸支店。当初は銅葺きの屋根と円形ドームを戴いていましたが、残念ながら空襲で焼失。耐震補強工事で阪神・淡路大震災を乗り越えて、海外貿易、外洋航路で繁栄した時代の神戸を今に伝えています。
曽禰達蔵、中條精一郎の黄金コンビによる設計
設計は辰野金吾とともにジョサイア・コンドルに学んだ日本人建築家の第1期生で、丸の内のレンガビル群を築いた曽禰達蔵(そねたつぞう)とその後輩で共同で設計事務所を構えた中條精一郎。
中條精一郎も札幌農学校図書館(現・北海道大学/国の登録有形文化財)を建築し、さらにケンブリッジ大学で建築を学んだ後、慶應義塾大学図書館(国の重要文化財)などを建築した明治・大正時代のエキスパート。
曽禰中條建築事務所は都市を飾る数多くのオフィスビルを創り出していますが、この神戸郵船ビルもそのひとつです。
現在は、テナントの入るビルとなっており、ショップなどの利用の場合には、内部に立ち入ることができます。
入口の壁面には「ON THIS SITE JULY 1863 WAS ESTABLISHED THE FIRSTAMERICAN CONSULATE IN KOBE」
(1863年7月この場所において神戸で最初のアメリカ領事館が開設されました)と記されたプレートが。
交差点を隔てた反対側には「メリケン波止場の碑」が立っていますが、ここに初代のアメリカ領事館があったことがメリケン波止場の名の由来。
駐大阪・神戸米国総領事館は現在、大阪にありますが、開港当初、最初にアメリカ領事館が設置されたのがここです。
明治4年にはヒョーゴ・ホテル(The Hiogo Hotel)が建てられ、大正7年に日本郵船となりました。
明治時代には、一帯にイギリス系の香港上海銀行神戸支店、外国の商館や領事館の建物が並んでいました。
日没から22時までライトアップを実施。
神戸市内に残る曽禰達蔵の建築物としては、明治38年築の旧東京倉庫兵庫出張所(石川ビル)も現存しています。
神戸郵船ビル | |
名称 | 神戸郵船ビル/こうべゆうせんびる |
所在地 | 兵庫県神戸市中央区海岸通1-1 |
電車・バスで | JR・阪神本線元町駅、地下鉄海岸線旧居留地・大丸前駅から徒歩6分 |
ドライブで | 阪神高速道路神戸線京橋出口から約1.6kmでメリケンパーク駐車場 |
駐車場 | メリケンパーク駐車場(630台/有料)、三宮中央通り駐車場(488台/有料)、市営三宮駐車場(1084台/有料) |
問い合わせ | 神戸国際観光コンベンション協会 TEL:078-303-1188/FAX:078-302-2946 |
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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