広島県福山市鞆町、福山市鞆町伝統的建造物群保存地区に選定されるレトロな町並みの一角にあるのが、入江豊三郎本店(いりえとよさぶろうほんてん)。古くから風待ち、潮待ちの港として栄えた鞆の浦。その鞆の浦には日本最古の滋養強壮薬味酒といわれる「保命酒」が今も醸されていて、入江豊三郎はそのうちのひとつ。
保命酒を醸造する明治19年創業の老舗
ペリーが下田開港時に食前酒として飲んだのは実はこの保命酒で、時の老中首座は、福山藩主・阿部正弘(あべまさひろ)だったことから、鞆の浦での潮待ち、風待ちの際、朝鮮通信使が愛飲したことをヒントに、ペリーにも「リキュール」として提供したのです。
江戸時代には福山藩の庇護を受け、中村家だけに製造販売が許されていましたが、明治以後は専売化が解かれ(中村家は明治36年に廃業)、入江家も観音寺(現・香川県観音寺市)から鞆に移り、明治19年から保命酒の醸造を始めました(観音寺では海運業、醸造業を営んでいたため、味醂などの醸造には長けていました)。
薬用酒としてもっとも脚光を浴びたのは昭和初期で、宣伝合戦が繰り広げられ、ハワイ、フィリピン、台湾、ブラジルまで輸出されたのだとか。
入江豊三郎の保命酒は、酒蔵で蒸米から麹作りまでほぼ手作業で醸され、8ヶ月かけて11月に完成した新酒(途中までは本みりんの醸造と同じです)に、数年寝かせた酒、飲み口をよくするため、さらに焼酎を調合し、薬味を漬け込んで熟成します。
漬け込む薬味は高麗人参(コウライニンジン)、菊花(キクカ)、黄精(オウセイ)、桂皮(ケイヒ)、枸杞子(クコシ)、甘草(カンゾウ)、丁子(チョウジ)など16種の生薬で、冬場には体がよく温まり、ぎゃくに暑い夏は夏バテ防止に効果があるのだとか。
アルコール分は14度ほどで、ガラス瓶入りのほか、備前焼肩衝(かたつき)徳利入り、丹波焼丸徳利いりなどの贈答用も用意されています。
昔ながらの手作業で造られる味醂「手仕事本味醂」も人気の品で予約で購入可能。
大正時代の商家を活かし令和3年11月改装オープンした本店(しまなみ信用金庫前)では、保命酒以外にも地元の土産も販売。
保命酒の資料も展示され、ビジターセンター的な機能も有しています。
本店のほか、仕込蔵を有する「蔵」、仙酔島行き渡船場近くの「渡船場店」もあります。
入江豊三郎本店 | |
名称 | 入江豊三郎本店/いりえとよさぶろうほんてん |
所在地 | 広島県福山市鞆町鞆534 |
関連HP | 入江豊三郎本店公式ホームページ |
電車・バスで | JR福山駅からタクシーで30分。または、鞆鉄バス鞆港行きで32分、終点下車、徒歩3分 |
ドライブで | 山陽自動車道福山東ICから約15km |
駐車場 | 5台/無料 |
問い合わせ | 入江豊三郎本店 TEL:084-982-2013/FAX:084-982-2015 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
最新情報をお届けします
Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!
Follow @tabi_mag