大同2年(807年)、空海(弘法大師)開基と伝えられる真言宗大覚寺派の古刹、明王院(江戸時代初期までは常福寺という律宗の寺)。明王院の五重塔は、南北朝時代の貞和4年(1348年)に建立された純和様の五重塔で、国宝。全国に28ある国宝の塔の中でも5番目の古さの塔で、三間五重塔婆、本瓦葺きで実に美しい塔です。
伏鉢の陰刻銘から、建築年が判明して国宝に
10世紀建立の京・醍醐寺五重塔と同じ形式の和様建築。
基壇から突先の宝珠まで29.14mの高さがあります。
初層の中心には大日如来坐像を安置(南北時代の造立/非公開)。
初層内部の壇周囲の壁板に真言八祖行状図(しんごんはっそぎょうじょうず=真言密教の8人の祖師=龍猛、龍智、金剛智、不空、善無畏、一行、恵果、空海の事跡を描いた図)、四天柱(仏塔の初層内部に立つ4本の柱)には金剛界三十七尊(金剛界曼荼羅の成身会のうちに配された37の仏・菩薩・仏神のこと)、天井長押(てんじょうなげし=柱から柱へと水平に打ち付けた材)などには、唐草文・花鳥・飛天などが描かれています。
初層の来迎壁(仏壇背後の壁)に描かれていた『兜率天曼荼羅図』(とそつてんまんだらず=仏教の世界観にある弥勒菩薩の浄土の様子を描いたもの)は江戸時代に寺外に流出し、現在は東京国立博物館の蔵。
一重目中央に壇が設けられ,心柱が二重目から立ち上がる特異な構造。
相輪(そうりん=塔の屋根から天に向かって突き出た金属製の部分)に刻まれた刻銘から、当時、瀬戸内海交易で繁栄していた草戸千軒の経済力を背景に建築されたことがわかります。
また、伏鉢(ふくばち=相輪の露盤にある鉢を伏せたような形のもの)の陰刻銘から、貞和4年(1348年)、一文勧進小資(いちもんかんじんしょうし=建立のために10円単位の少額の寄付を幅広く募ること)の浄財を募って造られたことが判明し、国宝になっています。
明王院・五重塔 | |
名称 | 明王院・五重塔/みょうおういん・ごじゅうのとう |
所在地 | 広島県福山市草戸町1473 |
関連HP | 明王院公式ホームページ |
電車・バスで | JR福山駅からタクシーで10分 |
ドライブで | 山陽自動車道福山東ICから約11km |
駐車場 | 60台/無料 |
問い合わせ | 明王院 TEL:084-951-1732/FAX:084-944-8881 |
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