国宝・五重塔 全9塔完全ガイド

下層から地(基礎)、水(塔身)、火(笠)、風(請花)、虚空(宝珠)を意味する5層の屋根からなる五重塔。まさに仏教的な宇宙観を表すタワー(塔)で、そそり立つ姿は宇宙との交信タワーとも思われます。世界最古の木造五重塔の法隆寺・五重塔を筆頭に、国宝に指定される屋外の五重塔は、全国各地に9塔あります。

五重塔は仏教の宇宙観を表すランドマーク

もともとは、古代インドで釈迦の遺骨を祀った仏舎利塔(ストゥーパ/梵語:Stūpa)がルーツです。
ストゥーパが古代インドから中国に仏教が伝来した際、 は「卒塔婆」と音訳され、それが略されたものが「塔」。

古代インド思想の地・水・火・風に、虚空(アーカーシャ)を加えたものが五大思想で、宇宙の構成要素・元素と考えられていたのです。

ちなみに宇宙観の「宇」は天地四方を、「宙」が古往今来(こおうこんらい=時間)を表す言葉で、空間的、時間的の広がりを指す言葉です。

羽黒山五重塔

所在地:山形県鶴岡市羽黒町手向7
塔高:29.2m
建築年:文中元年(1372年)/南北朝時代
備考:明治の神仏分離以前は、近世までは出羽三所大権現の一つ、羽黒権現の塔で、塔内に聖観音、軍荼利明王、妙見菩薩を安置していました

羽黒山五重塔

羽黒山五重塔

羽黒山(出羽神社)の五重塔は、平安時代に平将門(たいらのまさかど)が創建と伝えられ、文中元年(1372年)、庄内領主で羽黒山別当の大宝寺政氏(だいほうじまさうじ=武藤政氏)が大修復(再建)を行なったという記録が残されています。高さ29.0m

東寺(教王護国寺)・五重塔

所在地:京都府京都市南区九条町1
塔高:54.8m
建築年:寛永21年(1644年)/江戸時代
備考:近世(江戸時代)以前の五重塔としては日本一の高さ。世界文化遺産「古都京都の文化財」の構成資産

東寺・五重塔

「古都京都の文化財」として世界遺産に登録される東寺ですが、京都のシンボル的な存在となっているのが国宝の五重塔。高さ54.8mは木造塔としては日本一の高さを誇っています。現存する五重塔は徳川家光寄進の5代目[gallery type=”rec

醍醐寺・五重塔

所在地:京都府京都市伏見区醍醐東大路町22
塔高:38.2m
建築年:天暦5年(951年)/平安時代
備考:完成された美しさから「日本一の名塔」とも。世界文化遺産「古都京都の文化財」の構成資産。「日本三名塔」のひとつ

醍醐寺・五重塔

醍醐寺・五重塔

「古都京都の文化財」として世界文化遺産に登録される醍醐寺(だいごじ)。醍醐寺には、上醍醐、下醍醐の伽藍に、あわせて6棟の国宝、10棟の重要文化財の建物がありますが、下醍醐にある五重塔は父・醍醐天皇の冥福を祈るために第三皇子・代明親王が発願で

海住山寺・五重塔

所在地:京都府木津川市加茂町例幣海住山境外20
塔高:17.7m
建築年:建保2年(1214年)/鎌倉時代
備考:初層の屋根の下に裳階(もこし=庇・ひさし)が付く、珍しいスタイル

海住山寺・五重塔

海住山寺・五重塔

京都府木津川市加茂町、聖武天皇の開いた恭仁京(くにきょう)があった瓶原(みかのはら)を見下ろす三上山(海住山)中腹に建つ海住山寺(かいじゅうせんじ)。建保2年(1214年)、貞慶建立の五重塔は国宝です。塔高は17.7mで、初層の屋根の下に裳

法隆寺・五重塔

所在地:奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺山内1-1
塔高:31.5m
建築年:天智天皇9年(670年)の火災後/飛鳥時代
備考:現存する日本最古の五重塔。世界文化遺産「法隆寺地域の仏教建造物」の構成資産。「日本三名塔」のひとつ

法隆寺・五重塔

基壇からの高さ31.5mで、現存する日本最古の国宝五重塔が法隆寺西院伽藍の五重塔。五重塔の原形はインドのストゥーパーといわれ、本来は釈迦の遺骨を奉安するためのもの。中国で楼閣スタイルとなって仏教建築として日本に伝えられました。建築年は定かで

興福寺・五重塔

所在地:奈良県奈良市登大路町48
塔高:50.1m
建築年:応永33年(1426年)/室町時代
備考:世界文化遺産「古都奈良の文化財」の構成資産

興福寺・五重塔

興福寺の国宝に指定される五重塔は、730(天平2)年、興福寺を創建した藤原不比等(ふじわらのふひと)の娘・光明皇后(聖武天皇の皇后)が創建したもの。度重なる兵火のため焼失し、現在の塔は1426(応永33)年に再建されたものと伝わります。国宝

室生寺・五重塔

所在地:奈良県宇陀市室生78
塔高:16.1m
建築年:延暦19年(800年)頃/平安時代
備考:法隆寺五重塔に次ぐ古塔

室生寺・五重塔

室生寺・五重塔

「女人高野」として知られる室生寺(むろうじ)ですが、カメラマンなどに被写体として人気が高いのが五重塔。本堂横の高い石段を上った先に建つ五重塔は、平安時代初期の延暦19年(800年)頃の築で、国宝。法隆寺五重塔に次ぐ古塔で、高さは16m、1重

明王院・五重塔

所在地:広島県福山市草戸町1473
塔高:29.14m
建築年:貞和4年(1348年)/南北朝時代
備考:江戸時代初期までは常福寺という律宗の寺でした

明王院・五重塔

明王院・五重塔

大同2年(807年)、空海(弘法大師)開基と伝えられる真言宗大覚寺派の古刹、明王院(江戸時代初期までは常福寺という律宗の寺)。明王院の五重塔は、南北朝時代の貞和4年(1348年)に建立された純和様の五重塔で、国宝。全国に28ある国宝の塔の中

瑠璃光寺・五重塔

所在地:山口県山口市香山町7-1
塔高:31.2m
建築年:嘉吉2年(1442年)頃/室町時代
備考:大内氏全盛期の大内文化を伝える寺。「日本三名塔」のひとつ

瑠璃光寺・五重塔

瑠璃光寺・五重塔

山口県山口市にある瑠璃光寺は曹洞宗の寺で山号は保寧山。永平寺を大本山とする曹洞宗の寺のため、階段式の回廊が巡らされミニ永平寺といった感じ。五重塔は、大内文化花開いた室町時代、寺が香積寺だった頃のもので、嘉吉2年(1442年)頃の建立と推定さ

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