飯盛山

会津市街地の東に聳える標高314mの飯を盛ったような形状の山が飯盛山(いいもりやま)。明治維新に至る戊辰戦争(ぼしんせんそう)の際に、15歳〜17歳の少年324名が、3隊に分けて編成された会津藩防衛隊が白虎隊(びゃっこたい)。白虎隊のうち士中二番隊が自決した地で、白虎隊十九士が葬られています。

白虎隊(士中二番隊)の墓石が並ぶ悲劇の現場

中央に階段、右手に「飯盛山スロープコンベア」
白虎隊の悲劇を今に伝える墓標

白虎隊のうち士中二番隊が戸ノ口原の戦いにおいて敗走し、猪苗代湖の水を城下へと運ぶ戸ノ口堰洞穴を敗走し、飯盛山に到着。
鶴ヶ城周辺で炎上する士族屋敷を見て「城が落ちた」と早計し、自刃したのが、ここ飯盛山です。

士中二番隊のうち19名が絶命し、1名だけが奇跡的に助かりましたが、その1名が飯沼貞吉。
飯沼貞吉により、白虎隊の悲話が世間に伝えられました。
飯盛山の山中には白虎隊自刃の地、亡くなった19名と各地で戦死した31名の墓石が並ぶ白虎隊十九士の墓があります。

平成25年のNHK大河ドラマ『八重の桜』も、第25回が「白虎隊出陣」。
会津藩の悲劇が描かれています。

飯盛山中腹には「さざえ堂」として有名な円通三匝堂(えんつうさんそうどう)があるほか、山麓には白虎隊記念館、白虎隊伝承史学館も建っています。

山麓にある厳島神社(明治以前は宗像神社)は、芦名直盛(あしななおもり)が領主だった南北朝時代(14世紀)に創建され、会津藩主・松平正容が飯盛山周辺の神域を寄進した古社。
飯盛山が弁天山と呼ばれたのは神社の神域だったことから。
円通三匝堂は神社の別当だった正宗寺に建てられた堂。

ちなみに飯盛山へは山麓から階段と有料の動く坂道「飯盛山スロープコンベア」を利用する方法があります。

『白虎隊墓前祭』(4月24日・9月24日)

毎年4月24日と9月24日には、白虎隊の霊を慰めるため、白虎隊士の墓前で、『白虎隊墓前祭』(主催:公益財団法人会津弔霊義会)が執り行なわれています。
10:30~墓前祭が1時間ほど行なわれ、その後、会津高校生徒による「白虎隊剣舞」奉納があります。
なお、前日の4月23日と9月23日には、長命寺(日新町)、阿弥陀寺(七日町)でも慰霊祭が行なわれます。

会津高校生徒による「白虎隊剣舞」奉納
会津藩のフランス式兵制と「白虎隊」
慶応4年(1868年)の鳥羽伏見の戦い後、会津藩ではフランス式軍制を導入。
会津藩では、藩士(上級武士である上士の子弟に限られていました)の男子は10歳で藩校日新館に入学する決まりがあり、卒業した少年を年齢別に日新館で学んだ16歳〜17歳の少年達で編成した「白虎隊」、18歳〜35歳の実戦部隊である「朱雀隊」(すざくたい)、36歳〜49歳で編成される国境守備を目的とした青龍隊(せいりゅうたい)、50歳以上の予備兵的な「玄武隊」という具合に年齢別に編成しました。

さらに会津藩は、上士(士中)・中士(寄合)・下士(足軽)という厳密な階級制度があったので、白虎隊も親(藩士)の階級によって、士中一番隊から二番隊、寄合一番隊から二番隊、足軽一番隊から二番隊という具合に細かく分けられていました。

飯盛山で自決を遂げたる士中二番隊の隊員は、上級武士(上士)の子供達です。

近代的な兵制を取り入れながら、農民には重税を課し、旧態依然たる武士の階級制度を維持した会津藩。
悲劇の一因はそんなところにもあったのかもしれません。


飯盛山
名称 飯盛山/いいもりやま
所在地 福島県会津若松市一箕町八幡滝沢
関連HP 会津若松観光ビューロー公式ホームページ
電車・バスで JR会津若松駅から会津乗合自動車バス飯盛山行きで10分、終点下車、すぐ
ドライブで 磐越自動車道会津若松ICから約5km
駐車場 飯盛山市営観光客無料駐車場(70台/無料)を利用
問い合わせ 会津若松観光ビューロー TEL:0242-23-8000/FAX:0242-23-9000
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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