石川県庁舎石引分室(旧陸軍金沢偕行社)跡

石川県庁舎石引分室は、国の登録有形文化財に指定された2棟の洋館からなっています。左手の建物が明治31年築の旧陸軍偕行社(旧陸軍の将校クラブ)。異なる勾配の屋根とバロック風の外観が、印象的な洋館で、設計したのは陸軍経理部。令和2年10月25日開館の東京国立近代美術館工芸館として活用するために移築されています。

旧陸軍の将校サロンだった美しい洋館は国の登録有形文化財

コリント式(古代ギリシア建築の建築様式)のピラスター(付け柱)、屋根に小さな空間を設けて取り付けられたドーマーなどバロック風の技巧的な装飾が優美さを醸し出しています。
明治31年に金沢市大手町に築かれ、明治42年に現在地に移築されています。
平成19年からは石川県立歴史博物館の分室(収蔵庫)となっており、外観のみ見学が可能。
夜間はライトアップも実施。
金沢ライトアップバスでは「県立美術館・成巽館」下車。

向かって左手のルネサンス風の1棟は、明治31年に金沢城二の丸跡に、旧陸軍第九師団司令部庁舎として建築された木造2階建ての洋館。昭和43年に現在の場所に移築復元されています。
ちなみに、赤レンガ建築の石川県立歴史博物館はかつての兵器庫だったものです。

大日本帝国陸軍第9師団
日清戦争の後、大日本帝国陸軍は明治29年〜明治31年に、第7師団(旭川)、第8師団(弘前)、第9師団(金沢)、第10師団(姫路)、第11師団(善通寺)、第12師団(小倉)を創設。
それまでの第1師団・東京(旧・東京鎮台)、第2師団・仙台(旧・仙台鎮台)、第3師団・名古屋(旧・名古屋鎮台)、第4師団・大阪(旧・大阪鎮台)、第5師団・広島(旧・広島鎮台)、第6師団・熊本(旧・熊本鎮台)に6師団が加わり、国土防衛が強化されました。
日露戦争で第13師団以下が増強されていますが、ひとまず、富国強兵策の一つの完成が、明治31年です。

明治31年に編成された第9師団は、北陸の富山・石川・福井各県の兵士で構成され、司令部を金沢に置きました。
明治37年勃発の日露戦争では旅順攻囲戦に参加し、多大な被害を生んでいます。

石川県庁舎石引分室(旧陸軍金沢偕行社)
名称 石川県庁舎石引分室(旧陸軍金沢偕行社)/いしかわけんちょうしゃいしびきぶんしつ(きゅうりくぐんかなざわかいこうしゃ)
所在地 石川県金沢市石引4-18-3
関連HP 金沢市公式ホームページ
電車・バスで JR金沢駅から北陸鉄道バス小立野・大学病院前方面行きで14分、出羽町下車、徒歩3分。JR金沢駅から金沢周遊バス17分、広坂(石浦神社前)下車、徒歩5分
ドライブで 北陸自動車道金沢西ICから約7.3km
駐車場 兼六園上パーキング(32台・有料)、催事がない場合は石川県立能楽堂駐車場の利用可能
問い合わせ 金沢市文化財保護課 TEL:076-220-2469/FAX:076-224-5046
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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