【鉄道の基礎知識】車両に記されたモハ、クモハ、クハ、サハとは!?

車両に記されたモハ、クモハ クハ サハ

JRで走る車両の横に、モハ、クモハ、クハ、サハなどと記されていますが、これは、鉄道の基礎中の基礎といえる知識です。これを知っておけば、旅行だけでなく、通勤電車でも少し役に立つかもしれません。古くは鉄道省が決めたもので、現在使われているのは昭和3年に定められたモハ記号がルーツです。

「クハ」の「ク」は「くっつく」に由来!

車両に記されたモハ、クモハ クハ サハ
山手線のモハ102(モーター付き普通車で、直流、通勤・近郊形)

JRの車両に付けられた記号は、1文字目は車種、2文字目が用途を表しています。
まずは、車種の区分による記号から。

電車の内容を表すモハ記号は、非常に単純明快で、「ク」は、運転台のある車両(正式には制御車)で、なんと「くっついて走行」の「ク」です。
「モ」は電動車で、モーター付きの車両ということからモーターの「モ」、「クモ」は制御電動車で、つまりはモーター付きで運転台のある車両のこと。

「キ」は、、熱機関を使う車両つまりは「気動車」の「キ」で、気動車はローカル線での運用が多いため、編成両数が短いケースが多く、運転台が付いているのが基本と考えられてきたため、「ク」は省略して先頭車を意味する「キクハ」も「キハ」と表記ことが多くなっています(気動車で動力用のエンジンがない車両は「キサ」)。

残りの「サ」は、運転台の無い中間車(付随車)で、「差し挟まって走行」の「サ」からきています。

続いて、用途別の記号を紹介しましょう。
通常の通勤電車は、グリーン車は「ロ」、普通車で「ハ」、ですが、これは戦前の1等から3等をイロハで表したことが由来で、昭和35年にそれまでの1等がなくなり、2等が1等(現在のグリーン車)に、3等が2等(現在の普通車)になったことから、イロハの順ながら「イ」が例外を除いて欠番になっているのです。
例外として、「イ」を付けるのがJR九州の周遊型臨時寝台列車「ななつ星」(マイ77、マイネ77、マイネフ77)とJR西日本の「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」(キイテ87、キサイネ87)。
2人で最高150万円という料金にふさわしい特別な豪華列車であるということで「イ」(旧1等車)の表記が復活しています。

「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」のキサイネ86
「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」のキサイネ86(気動車で、中間車両、一等寝台)



寝台車は「寝る」の「ネ」で、A寝台車はグリーン寝台ということから「ロネ」、B寝台車が「ハネ」と振られます。

このほか、今はなくなった食堂車は「食堂」の「シ」、郵便車が「郵便」の「ユ」、荷物車が荷物の「二」、事故復旧機材を積んだ救援車が、救援の「エ」、非営業用で試験車など職用車が「役所」の「ヤ」、工場から車両基地へ部品などを輸送する配給者が「配る」のルとなっていますが、食堂車、郵便車などは、鉄道博物館などに行かなければ見ることができません。

この記号に続くのが形式番号で、電車の場合は百の位は電気方式を表していて、1〜3は直流、4〜6が交直両用、7〜8が交流となっています。
十の位は種別で、0〜4は通勤・近郊形、5〜8は急行・特急形、9が試験車に当てられています。

ここで紹介したのは、あくまで国鉄を踏襲するJRグループの場合で、私鉄は独自のものだったり、JRに準じるものだったりと、一律ではありません。

また、JR東日本のGV-E400系気動車(エンジンは発電専用という電気式気動車)など、JR東日本独自開発の車両にはあえてEを付けてキハEなどと表しています。
新幹線のE7系のEもJREASTの「E」ということに。

では、その記号が、旅や通勤にどう役立つのか

記号は理解したけど、旅行や通勤にどういう関係が、と疑問に思われることでしょう。

まずは通勤電車のから。
山手線などの通勤電車は、モハ、サハ、クハ、クモハのいずれかですが、サハ、クハは、モーターがないので、モーター付きの車両よりは少し静かという特性が。
それでもモーター付きの車両のほうが自重があって地震などの際に脱線しづらいのではと考える人もいて、その場合は、モハがおすすめということに。
長年、時刻表の編集を行なっていたOさんは、衝突の危険を回避し、さらに地震や脱線時の横転の危険性を減らすため、「先頭から3両目以降のモハを選ぶ」とのことで、列車に詳しい人にはそれぞれの思い入れがあるようです。

今や貴重な寝台車となったサンライズ「出雲」、サンライズ「瀬戸」は、「クハネ」(先頭車のB寝台車/クハネ285)、「モハネ」(モーターの付いた中間車両のB寝台車)、「サハネ」(中間車のモーターのないB寝台車)、サロハネ(中間車のモーターのないB寝台車・A寝台車)の編成ですが、サンライズ「出雲」・「瀬戸」で使われている285系電車のモーターのある車両(モハネ)は、3号車・10号車、5号車・12号車なので、静かな一夜を過ごしたい場合はそれを避け、最後尾の「クハネ」がモーターから遠くておすすめということになります。

逆に、特急気動車などは、登坂時にうなりを上げるディーゼル音が聞きたいからと、あえて動力用のエンジンがない「キサ」ではなく、「キハ」を選ぶというツウもいるのです。

サンライズ出雲
「サンライズ出雲」12号車は285系電車のモーターのある車両(モハネ)
【鉄道の基礎知識】車両に記されたモハ、クモハ クハ サハとは!?
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

 

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