二月田温泉 殿様湯

二月田温泉 殿様湯

鹿児島県指宿市西方、第10代薩摩藩主・島津斉興(しまづなりおき)が、湯治目的を兼ねて造った別邸の場所にある公衆浴場が、二月田温泉殿様湯。温泉施設は明治28年に民間に払い下げられ、以来、庶民の公衆浴場として愛されてきました。建物の脇には、藩政時代の殿様湯跡(湯船の跡)も残されています。

殿様の愛した温泉が庶民の共同浴場に変身

二月田温泉 殿様湯

湯船は5人も入れば満員とさほど大きくはありませんが、温泉の注ぎ口には丸に十字の島津家の家紋も描かれちょっぴりながら殿様気分も味わえます。
源泉は二月田8号泉(源泉温度56.3度、pH6.4)で、泉質はナトリウム-塩化物泉。
よく温まり、慢性消化器病、神経痛などが適応症です。

明治28年、殿様湯は今林傳太郎の所有となり、その後代々、今林家の経営で殿様湯を営業しています。
往時の建物は、老朽化から昭和59年一部を残して改築していますが、風情ある湯船は現存しています。
二月田温泉殿様湯は、鹿児島県公衆浴場組合に加盟する温泉銭湯ですが、温泉の多い鹿児島県だけに公衆浴場組合に加盟する施設の大部分が温泉です。

島津斉興は、天保4年(1833年)、後見人となっていた祖父・島津重豪(しまづしげひで=蘭癖大名・学者大名)没後、ようやく藩政の実権を掌握し、財政改革を主とした薩摩藩の天保改革に取り組み、藩財政を回復させています。
西郷隆盛の死を偽装し、奄美大島に隠匿したのも島津斉興です。
祖父・島津重豪の晩年となる天保2年(1831年)、島津斉興が長井温泉行館を二月田温泉に移設したのが殿様湯です。

九州では武雄温泉にも殿様湯がありますが、武雄鍋島家の専用風呂で、豪華な総大理石風呂が現存しています(シーボルトの『江戸参府紀行』にシーボルト自身の入浴も記載されています)。

二月田温泉 殿様湯
名称 二月田温泉 殿様湯/にがつでんおんせん とのさまゆ
所在地 鹿児島県指宿市西方1408
関連HP 指宿市観光協会公式ホームページ
電車・バスで JR二月田駅から徒歩10分
ドライブで 指宿スカイライン頴娃ICから約22km
駐車場 15台/無料
問い合わせ 二月田温泉 殿様湯 TEL:0993-22-2827/FAX:0993-22-2827
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
殿様湯跡

殿様湯跡

鹿児島県指宿市西方、指宿市内を流れる二反田川のそばにある、薩摩を治めていた島津家の温泉別荘跡が、殿様湯跡。現存する湯殿の遺構は天保2年(1831年)に第10代薩摩藩主・島津斉興(しまづなりおき)によって長井温泉行館を移設したもの。隣接して公

湯権現

湯権現

鹿児島県指宿市西方、公衆浴場の「二月田温泉 殿様湯」、江戸時代の薩摩藩主・島津家の温泉別荘の湯殿跡「殿様湯跡」に隣接して建つのが、湯権現(ゆのごんげん)。神仏習合時代に温泉で快癒することを願い祀られた権現で、現在は湯権現神社となっています。

 

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