神奈川県葉山町の森戸海岸に建つのが森戸神社(森戸大明神)。治承4年(1180年)、源頼朝が尊崇する三嶋社 (現・三嶋大社)から三嶋大明神の分霊を勧請して創建したと伝わる古社です。鎌倉時代の歴史書『吾妻鏡』にも幕府の歴代将軍の参拝、流鏑馬、笠懸、相撲などの奉納が記されています。
祭神は、事代主命(ことしろぬしのみこと)、大山祇命 (おおやまつみのみこと)の二柱。
『吾妻鏡』治承4年(1180年)の項に、源頼朝は挙兵直前に安達盛長に対して伊豆三嶋社への奉幣を命じているように、三嶋大明神を尊崇、鎌倉に幕府を開いた後にも、遠く伊豆や富士を眺める霊地・森戸海岸に分霊を勧請したのでしょう。
御神木のビャクシンは、元暦元年(1184年)、源頼朝参拝の際に、三嶋社から飛来し発芽したものと伝えられています。
拝殿裏手、富士を眺める磯の岩上に切り立つ見事な枝ぶりの松が「千貫松」で、源頼朝が衣笠城に向かう際にこの松を愛で、「如何にも珍しき松」と褒めたところ、出迎えた和田義盛が「千貫の値ありとて千貫松と呼びて候」と答えたと伝えられています。
沖合い700mに浮かぶ岩礁の島が名島(菜島)で、赤い鳥居が建っています。
名島の南側にある葉山灯台は、「裕次郎灯台」と通称。
鎌倉幕府は、朝廷の七瀬祓(ななせはらい)に準じ、江嶋龍穴(江ノ島)、固瀬(境川)、金洗澤池(七里ヶ浜)、由比ヶ濱、狎河(いたち川)、六連(六浦)、杜戸(森戸)の7ヶ所の七瀬で、七瀬祓(ななせはらい)を行ないました。
森戸海岸も七瀬祓の霊地で、神社から海辺に通じる赤い橋を「みそぎ橋」と呼ぶのはそのため。
ちなみに、葉山町(森戸海岸)は、葉山-嶺岡帯という三浦・房総半島で最も古い岩石と地層のエリアにあり、森戸神社周辺の海岸の岩礁は、そんな葉山層群の最下位層にある森戸層(硬質泥岩)。
つまりは、三浦半島でもっとも古い地層が露頭する場所で、源頼朝は、そんなパワースポットを探しあてたといえるのです。
画像協力/葉山町
森戸神社(森戸大明神) | |
名称 | 森戸神社(森戸大明神)/もりとじんじゃ(もりとだいみょうじん) |
所在地 | 神奈川県三浦郡葉山町堀内1025 |
関連HP | 森戸神社(森戸大明神)公式ホームページ |
電車・バスで | JR逗子駅・京急新逗子駅から京浜急行バス葉山一色行き(海岸回り)で15分、森戸神社下車 |
ドライブで | 横浜横須賀道路逗子ICから約6km |
駐車場 | 参拝者用駐車場(100台/無料) |
問い合わせ | TEL:046-875-2681/FAX:046-875-0418 |
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