神奈川県川崎市多摩区、多摩川に築かれた二ヶ領用水の取水用のダムが宿河原堰堤(しゅくがわらえんてい)。慶長6年(1611年)、3.5km上流の上河原堰堤から用水を取り入れましたが、それでも水不足だったため、寛政6年(1629年)に宿河原に取水口を設け、後に築かれた伝統的な堰堤がルーツです。
二ヶ領用水の取水口につくられたダム
当初は自然流入で取水していましたが、東京の人口増加を受け、村山貯水池、羽村貯水池が築かれ、羽村取水堰からの取水量が増えたこと、関東大震災後に多摩川の砂利の需要が増えたことなどから川床が低下し、下流の水の争奪が始まりました。
二ヶ領用水も川幅全体に何段もの蛇籠(じゃかご=竹材や鉄線で編んだ長い籠に砕石を詰め込んだ籠)を並べ、ダムを築いて取水するようになりました。
洪水などで決壊するので、修復する費用も嵩むため、昭和2年、神奈川県は二ヶ領用水改良事業を計画。
その後、東京都との対立、第二次世界大戦への突入などもあって、戦後、進駐軍からのセメント特別供給を受け、ようやく昭和24年5月5日、コンクリートの堰堤が完成しています。
昭和49年9月1日、台風16号の大雨で、宿河原堰堤が原因で堤防が決壊するという狛江水害が発生(テレビドラマ『岸辺のアルバム』で有名に)。
こうした問題を受け、平成11年、魚道を3ヶ所備え、起伏ゲート(転倒ゲート)5門、引き上げ式ゲート1門を備えた現在の可動堰に改良されたのです。
宿河原堰堤横にある二ヶ領宿河原堰管理所にはビジターセンター的な役割を担った「二ヶ領せせらぎ館」が併設されています。
宿河原堰堤 | |
名称 | 宿河原堰堤/しゅくがわらえんてい |
所在地 | 神奈川県川崎市多摩区宿河原1-5-1 |
関連HP | 川崎市公式ホームページ |
電車・バスで | JR・小田急登戸駅から徒歩10分 |
ドライブで | 東名高速道路東名川崎ICから約6km |
駐車場 | なし |
問い合わせ | 川崎市河川課 TEL:044-200-2903 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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