日本にもあるピラミッド! 「熊山ピラミッド」とは!?

熊山ピラミッド

日本国内にあるピラミッド型の遺構のうち、もっともピラミッドに近いのが、岡山県南部の最高峰・熊山(赤磐市/標高509m)の山中に築かれた「熊山ピラミッド」(熊山遺跡)。ピラミッドを思わせる、特殊な三段方形の石積遺構で、頂部中央には方形の竪穴が設けられています。その築かれた目的とは!?

和気カルデラが生み出した奈良時代のピラミッド

日本で唯一の石積遺構(ピラミッド)です!

熊山ピラミッド
熊山ピラミッド

1辺12mほどの基壇の上に、1段目8m、2段目5.4m、3段目3.3~3.6mの石積を載せた、まさにピラミッド型の遺構。
三段目には方形竪穴があり、そのなかには高さ1.6mという巨大な陶製筒形容器(とうせいつつがたようき/奈良・天理大学附属天理参考館に収蔵)と奈良三彩小壺(ならさんさいこつぼ)が納められていました。

奈良時代には行基が、大野寺(おおのでら/堺市)に13段のピラミッド型仏塔、頭塔(奈良市)などの仏塔が築かれていますが、いずれも土を固めて段々に重ねたもの。

熊山遺跡は形状は似ていますが、日本唯一といえる奈良時代の石積ピラミッド。
それでも納められた容器や壺、2段目の側面に開けられた仏龕(ぶつがん)の存在から、奈良時代に築かれた仏塔だろうと推測されています。

熊山には天平勝宝6年(754年)、聖武天皇が唐から招いた鑑真が、帝釈山霊山寺を開き地蔵菩薩を安置したという伝承も(その後継が熊山神社)。
「熊山ピラミッド」も鑑眞によって開基された戒壇(かいだん=授戒の儀式を行なう場所)の跡ともいわれていますが、築かれたのが奈良時代の初期ということで仏塔というのが定説です。

熊山山中には33ヶ所の石積遺構、備前焼窯跡を含め多くの遺跡が眠っており、古代には信仰の中心地だったと推測できます。
この熊山、8000万年〜7300万年前(白亜紀末期)の火山活動で誕生した和気カルデラの外輪山。
カルデラ自体は南北23km、東西15kmと阿蘇カルデラにも匹敵するような巨大なもの。
熊山ピタミッドも熊山を形成する流紋岩質の火砕岩を方形に切り出し、積み重ねているのです。
垂直と水平方向の規則正しい割れ目が発達した岩石で、切り出しやすかったことで、石積ピラミッドが誕生しているので、和気カルデラが生み出したピラミッドともいえるのかもしれません。

熊山ピラミッドに隣接する熊山山頂展望台からは、岡山平野はもちろん、吉備高原、瀬戸内海の島々、遠く四国の屋島まで眺望できる大パノラマ。
そうした場所にある遺構というの、今後の解明のキーとなることでしょう。

熊山ピラミッド
2段目に開いた穴が仏龕(ぶっつがん)
日本にもあるピラミッド! 「熊山ピラミッド」とは!?
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熊山遺跡

熊山遺跡

岡山県赤磐市奥吉原、岡山市東区、備前市との市境に位置するの熊山(509m)の山上にある仏教遺跡が熊山遺跡。奈良時代前期に築造された石積み3段のピラミッド型の遺跡のため「熊山ピラミッド」ともいえるような様相で、岩盤に基壇(きだん)を築き、その

熊山ピラミッド

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