JR東日本管内で「営業係数」がワーストという赤字区間が、久留里線(久留里駅〜上総亀山駅)。100円の収入を得るのに1万3580円かかると試算される超赤字路線ですが、JR東日本千葉支社は、2024年11月27日(水)に「バス等を中心とした 新たな交通体系へのモードチェンジを図ることが必要」と発表しています。
沿線の過疎化を受け、利用者は民営化後に9割減
2023年3月8日(水)、JR東日本千葉支社は、久留里線(久留里駅〜上総亀山駅/9.6km)の存廃問題に関して、君津市、千葉県に対して、沿線地域の総合的な交通体系に関する議論を行なうため、協議の場である「検討会議」の設置を申し入れ、以降、関係自治体とJR東日本との間で協議が行なわれてきました。
2023年5月11日(木)に行なわれた初会合では、沿線では「地域の足」の存続を求める署名活動も展開しているため、「存続、廃線を含め、一切の前提を置かない」(JR東日本千葉支社)としていました。
地元も実際に乗車人数が少ないこと、沿線で人口が減少していること、路線が盲腸線であることなどを認識し、「ほとんど空気を運んでいる」といった声もある反面、「必要不可欠な公共交通」という声も聞かれました。
2023年度の営業係数(100円の収入を得るために必要な経費)は1万3580円でしたが、2021年度の1万9110円に比べれば改善しています。
それでも分割民営化の1987年から比べれば乗客数が9割近くも減少し、鉄道の存在意義が薄れています。
沿線の足としては予約制の君津市デマンドタクシー「きみぴょん号」(指定された乗車場所から目的地まで、利用者の希望時間帯や乗降場所などの要望=デマンドに応じて利用できる交通サービス)が運行、自宅から目的地まで運んでくれるため、わざわざ駅に出向いて列車を利用する人も少ないのです(小櫃・上総地区で運行され、観光目的での利用も可能)。
JR東日本千葉支社の発表によれば、2024年10月21日(月)に行なわれた第5回検討会議で、
- 上総地区で提供されている交通サービスは、当該地区の移動需要に適していないこと
- 当該地区での移動需要を考慮すると、自動車中心の交通体系への移行により、より利便性の高い地域公共交通が実現すること
という検討結果が示されました。
その結果を受け、JR東日本では「上総地区にとって望ましい交通体系」の検討を進めた結果、「バス等を中心とした 新たな交通体系へのモードチェンジを図ることが必要」という結論に至ったとのこと。
具体案については今後、地元の君津市などと協議するとのことですが、廃止が決まれば、災害で被災した路線を除くと、JR東日本では初めての廃止となります。
終点の上総亀山駅周辺には亀山湖、房総亀山温泉の宿泊施設などもありますが、やはり車、JR千葉駅からの高速バス 「カピーナ号」でのアクセスが大半とのこと。
廃止となった場合に、どんな乗り物に転換するのかも、注目されるところです。
JR東日本一の赤字路線・久留里線(久留里駅〜上総亀山駅)が廃止、バス転換に | |
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