京都市右京区、嵯峨野の西北に位置する嵯峨鳥居本(さがとりいもと)は、室町末期頃に農林業をや川での漁を主体とした集落として開かれた地。江戸時代には愛宕大権現に参拝する愛宕詣の門前町として発展。愛宕街道に沿った長さ600m、2.6haが嵯峨鳥居本伝統的建造物群保存地区に指定されています。
愛宕大権現の門前町の性格を今に伝える町並み
現在も愛宕街道に沿って藁葺き屋根の民家が自然と溶け合いながら軒を連ね、風情ある景観が残されています。
鳥居本(とりいもと)も、火防(ひぶせ)で名高い愛宕大権現を祀る白雲寺(現在の愛宕神社=全国に900社ほどある愛宕神社の総本社で、「火迺要慎」()の火伏札で有名)の一の鳥居があることがその名の由来(一の鳥居から、愛宕神社まで五十丁)。
京の都では、「愛宕の三つ参り」として、3歳までに参拝すると一生火事に遭わない、「お伊勢七たび、熊野へ三たび、愛宕さんへは月詣り」といわれ、嵯峨鳥居本はその参詣の基地としても賑わったのです。
一の鳥居近くにある「京都市嵯峨鳥居本町並み保存館」は、明治期に建てられた民家を再生したもので、昭和初期の愛宕街道の町並みを精密に復元した模型が展示されています。
化野念仏寺(あだしのねんぶつじ=化野は平安時代以来の墓地で、風葬の地)を境として一の鳥居側の上地区には「くずや」(葛屋)と呼ばれる藁葺きの農家が多く、下地区は「むしこ窓」を有する町家風の建物が多く残り、全体の半数が江戸時代末期から明治にかけて建築された伝統的建造物。
つまり、愛宕街道の坂を上るにつれ、化野念仏寺を境に、瓦屋根の町家風民家から茅葺きの農家風民家の家並みへと変わっていく点に注目を。
愛宕街道(京都鳥居本)として国土交通省の日本風景街道にも選定されています。
鮎問屋を営むかたわらで、名物志んこ団子を旅人に供したのが始まりという老舗「平野屋」(当主で14代目)は、「志んこ」(米粉の団子)、鮎料理(6月〜10月中旬)、春の山菜、冬の猪肉などの季節料理の名店。
一の鳥居をくぐった横にあるので、ぜひ立ち寄りを。
周辺には、愛宕神社のほか、化野念仏寺、嵯峨野めぐりの出発点にもなっている愛宕念仏寺(おたぎねんぶつじ)があり、平安時代からの歴史を今に伝えています。
ちなみに京都市内にある伝統的建造物群保存地区(重伝建)は、嵯峨鳥居本伝統的建造物群保存地区のほか、産寧坂(さんねいざか)、祇園新橋、上賀茂の4ヶ所があります。
嵯峨鳥居本伝統的建造物群保存地区 | |
名称 | 嵯峨鳥居本伝統的建造物群保存地区/さがとりいもとでんとうてきけんぞうぶつぐんほぞんちく |
所在地 | 京都府京都市右京区嵯峨鳥居本仙翁町、嵯峨鳥居本六反町辺り |
関連HP | 京都市公式ホームページ |
電車・バスで | JR京都駅から京都バスで鳥居本下車、徒歩3分 |
問い合わせ | 京都市都市計画局都市景観部景観政策課 TEL:075-222-3397/FAX:075-213-0461 |
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