京都観光、なぜ日本人観光客は減っている!?

京都市によれば2025年3月20日~4月20日の間に京都市を訪れた観光客は、前年の同期に比べ、清水寺のある東山地区が12%減、嵐山が20%減、京都駅自体でも9%減となっています。逆に訪日外国人観光客は、東山66%増、嵐山22%増、京都駅72%増とその差は拡大。なぜ日本人観光客は急速に減っているのでしょう?

テレビで繰り返しオーバーツーリズム問題を放送

オーバーツーリズム問題で有名な嵐山・渡月橋

東京駅と京都駅を結ぶ東海道新幹線に乗車すると、「ひかり」は車両の大部分が訪日外国人観光客で、飛び交う言葉から、外国の特急列車のような雰囲気になっていることも。
 これはJRグループ6社が共同して提供するパス「JAPAN RAIL PASS」(ジャパン・レール・パス)が利用可能なのは「ひかり」だけという制限があるから(「のぞみ」、「みずほ」に乗車する場合は、JAPAN RAIL PASS専用の特別なきっぷが必要)。

一度でも「ひかり」を利用したことがある人なら、京都駅でどどーっと下車する訪日外国人の数に驚かされるに違いありません。

訪日外国人観光客にとって、日本のど真ん中に位置する京都は、高山や白川郷、大阪、金沢、東京などとセットにしやすく、初めて日本に訪れる人もまずは行ってみたい場所の筆頭なのです。

日本人はどうして減少しているのかといえば、嵐山・渡月橋などのオーバーツーリズムがテレビなどで報道され、周知されたからというのが大きく、さらにインバウンド需要で、ホテルなどが高くなったことも大きな要因です。

京都各地で「日本人が敬遠する京都」という現象が

訪日外国人観光客に人気の伏見稲荷大社

そんななかで、危機感を抱いた京都商工会議所は、ソフトバンク、長崎大とともに、国内客の減少の原因や観光・経済面への影響を分析する共同研究をスタート。
長崎大とソフトバンクが開発した、携帯電話の位置情報をリアルタイムで統計化して観光客の動向を把握する手法を用いて、データ的に解析を進めようというもの(個人が特定できないように処理されたデータです)。

2024年GWの3連休中、東京方面から東山区に滞在していた人の数は、コロナ禍の2022年でも6000人はいたものの、2024年には3000人へと減少。
2025年はさらに減少したものと推測できます。
データだけを見ると、コロナ禍に比べても日本人は半減しているということに。

伏見稲荷大社でも外国人が増加することに対し、日本人は減少と、京都各地で「日本人が敬遠する京都」という現象が発生しているのです。
とくに紅葉シーズンは、JR東海が首都圏に向けて『そうだ 京都、行こう。』と積極的にCMを流し、駅にポスターを貼るものの、さらなる減少が予想されます。
2024年の秋(11月1日~12月15日)も京都市の調査では、北野天満宮、伏見稲荷大社などでは外国人が急増、日本人は大幅減という結果がデータからも明らかに。

京都を観光する人のうち、実は京都市内に宿泊する人の数は3割ほど。
宿泊費高騰だけではなく、バスに乗れないなどというオーバーツーリズム問題が周知されたことが大きな要因だと思われます。

外国人や修学旅行生の少ない穴場も

少し穴場の青蓮院門跡

都道府県別の訪日外国人がどれだけのお金を落としたかというデータ(2024年)では、トップは東京都で15.3万円、2位が北海道(14.9万円)、3位・沖縄県(13.0万円)、4位・福岡県(9.6万円)、5位・大阪府(9.1万円)ですが、京都府は5万円程度で14位に甘んじています。
東山界隈(清水寺・祇園)、二条城、北野天満宮、金閣寺、伏見稲荷大社、嵐山界隈などを足早に回る訪日外国人観光客という姿がデータからは浮かび上がります。
先斗町(ぽんとちょう)でものんびりと鴨川の床を楽しむ人は少なく、ぞろぞろと通りを歩くだけの人が多いのです。

一度、こうした外国人ぞろぞろの京都に出会ってしまうと、「もう京都はいいや」という日本人も生まれてしまい、さらに日本人減少の循環に陥ってしまいます。

地元の観光関係者や、観光タクシーの運転手などに話を聞くと、「外国人観光客の少ない、落ち着いたエリアもあるんやけど」とのことですが、SNSで情報を見つけるのは外国人も同じなので、そんな日本人だけの聖地も少なくなりつつあるのです。

紅葉シーズンでも京都市街から少し離れた木津川市にある浄瑠璃寺、岩船寺などは、比較的静かに参詣することができます。
外国人に人気の東山エリアでも、外国人や修学旅行生の多い知恩院を避けて、その北側の青蓮院門跡にすれば、比較的静かに京都の古刹を満喫することができます。

京都観光、なぜ日本人観光客は減っている!?
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。

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