映画やミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』でおなじみの名曲「エーデルワイス」(Edelweiss)は、ヨーロッパアルプスに咲く、セイヨウウスユキソウのこと。日本アルプス、北日本の高山、寒冷地には、ウスユキソウの仲間でかなり似たものももあり、「日本のエーデルワイス」といった感じです。
そっくりなのはオオヒラウスユキソウ、ハヤチネウスユキソウ
ヨーロッパのエーデルワイスは、セイヨウウスユキソウ(学名・Leontopodium alpinum)で、日本にはこの種がなく、ウスユキソウ属のなかから似たものを探すことになります。
属名のLeontopodiumはギリシャ語で「ライオンの足」という意味で、花のイメージがライオンの肉球を思わせる姿ということから付けられています。
もっとも似ているといわれるのは、北海道島牧村の大平山(おおびらやま)、夕張山地の崕山(きりぎしやま)のみにしか生育しないオオヒラウスユキソウで、その存在を知るアルピニストは、かなりの花好き、高山植物ツウです。
一般に「日本のエーデルワイス」と称されるのは、岩手県の早池峰山(はやちねさん)の固有種であるハヤチネウスユキソウで、オオヒラウスユキソウはその変種とも考えられてきましたが、形状の違いや雌雄異株の傾向が強いことなどから完全に別種であることが判明、現在ではエーデルワイス(セイヨウウスユキソウ)に最も近いのはオオヒラウスユキソウ、そしてハヤチネウスユキソウとされています。
日本アルプスに咲くウスユキソウの仲間でエーデルワイスに似ているのは、木曽駒ヶ岳の山頂近くの稜線に花を咲かせるヒメウスユキソウ(コマウスユキソウ)。
Leontopodium shinanenseが学名で、「信濃のエーデルワイス」ともいえるでしょう。
高所に咲くため、日本のウスユキソウ属のなかでも最も小型で、可憐という特徴があります。
夏休みに中央アルプス駒ヶ岳ロープウェイで標高2612mの千畳敷カールに到達し、1時間ほど登山をして稜線に立てば、この「信濃のエーデルワイス」に出会えるかも知れません。
平地で見かけるという点では、寒冷で、低い標高でハイマツが茂る礼文島(礼文町の町花)、大雪山、知床半島、釧路湿原など道東の湿原に咲くエゾウスユキソウ(レブンウスユキソウ)も「北海道のエーデルワイス」といえるでしょう。
秋田駒ヶ岳、鳥海山、月山、飯豊山、朝日連峰など、東北の高山に咲くミヤマウスユキソウ(ヒナウスユキソウ)もありますが、比較的に手頃に観賞できるのは、霧ヶ峰、美ヶ原、志賀高原などの高原に咲く、ミネウスユキソウ(八方尾根にはミネウスユキソウの変種ハッポウウスユキソウが咲きます)。
平地のウスユキソウの高山型で、北アルプスでは登山道途中で見かけるので、ロープウェイ、ゴンドラリフト、車などを利用して高所に行った際には、このミネウスユキソウで手を打つのがいいでしょう。
六甲高山植物園などの植物園などでも栽培される品種がありますが、下界ということで花期が少し早まって6月くらいに咲くので注意が必要です。
日本アルプスにもエーデルワイスは咲く!? | |
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