隆起サンゴ礁の石灰岩台地で形成される沖縄の島々には無数の鍾乳洞があり、沖縄戦の最中には避難壕として活用された歴史もあります。ダイビングやシュノーケリングで入洞する鍾乳洞をを除いたおすすめの17洞を紹介。照明完備でないものや平和教育に使われる洞窟では、とくにマナーを守って入洞を。
沖縄本島
玉泉洞(おきなわワールド)|南城市
所在地:沖縄県南城市玉城前川1336
総延長:5km、そのうち890mを公開
洞窟内の温度:21度前後
歴史:昭和42年3月、龍河洞(高知県)を発見した愛媛大学学術探検部・山内平三郎さん(龍河洞を発見した日本の洞窟学・ケイビングのパイオニア、山内浩の息子)が調査を行ない、初めて長大なその全容が判明
概要:沖縄が日本本土復帰した昭和47年、玉泉洞文化村(現・おきなわワールド)として観光洞としての営業が開始され、大石筍が林立する大広間「東洋一洞」、ロケットのような石柱「昇龍の鐘」などが見どころ
日秀洞(金武鍾乳洞)|金武町
所在地:沖縄県国頭郡金武町金武222
総延長:270m
洞窟内の温度:18度
歴史:紀伊国(和歌山県)から唐を目指した、あるいは補陀落渡海(ふだらくとかい=海の彼方の補陀落山を目指し単独で帰らぬ旅へと船出すること)を試みた日秀上人が、遭難して琉球王国・金武のフナヤ(富花津)に上陸
鍾乳洞を拠点にして布教を始め、日秀洞の鍾乳洞内に熊野三所権現を勧請し、金武権現宮を建立
概要:金武観音寺境内地下30mにある鍾乳洞で、金武権現(熊野三所権現)が祀られています
金武鍾乳洞・古酒蔵(龍の蔵)|金武町
所在地:沖縄県金武町金武4348-15 カフェレストラン長楽内
総延長:270m
洞窟内の温度:18度
歴史:日秀洞(金武鍾乳洞)を参照
概要:地下30mの金武鍾乳洞に気温が18度と一定である自然環境を活用して、1万4000本を超える泡盛「龍」(金武酒造)の1升瓶を貯蔵
鍾乳洞見学ツアーは1日3回、予約制で、「龍の蔵」で見学受付
CAVE OKINAWA|うるま市
所在地:沖縄県うるま市石川嘉手苅479-1
総延長:200m
洞窟内の温度:20度~23度
歴史:鍾乳洞の正式名は、ぬちしぬじガマで、14世紀(グスク時代・三山時代)、今帰仁城(なきじんぐすく)の王子が戦の際にこの洞窟に逃げ込んで難を逃れ、洗濯に来た女性に助けられて命をつなぎ、後に伊波城を築城したという歴史も
沖縄戦では、嘉手苅地区・伊波地区の住民が避難して潜伏、アメリカ軍に発見されますが、山城政賢区長は、投降を嫌がる住民を説得し、たったひとり洞窟を出てアメリカ軍と交渉、ついに全員が投降して、ひとりも命を落とすことがありませんでした
概要:池原政安(いけはらせいあん)さんが沖縄を訪れる修学旅行生に平和教育を兼ねて洞窟案内を始めたのきっかけで、徐々に人が訪れるようになり、隠れた観光洞として知られるように
平成30年に照明設備や安全通路も整備され、「気軽に楽しめる神秘の鍾乳洞」としてリニューアルされ、今ではSNSで話題の鍾乳洞に
普天満宮洞穴|宜野湾市
所在地:沖縄県宜野湾市普天間1-27-10
総延長:280m、そのうち50mを公開
洞窟内の温度:20度~23度
歴史:普天間宮の縁起で、首里桃原に女神が出現、普天満宮の洞窟に籠もったという伝承がある鍾乳洞
洞口の7m~8m南側の斜面からは沖縄貝塚時代前期後半以降(3000年前=縄文時代に相当)の遺物も出土し、沖縄県普天満宮遺跡と称されています
概要:授与所で普天満宮奥宮拝観(普天間洞穴見学)を申し出て、代表者の名前と住所を記入すれば、巫女さんが洞穴へと案内してくれる仕組み(奥宮部分は撮影禁止です)
メーガー洞|宜野座村
所在地:沖縄県国頭郡宜野座村松田
総延長:80m
洞窟内の温度:不明
歴史:鍾乳洞の豊富な水量は、生活用水の水場として村人の暮らしを支えてきたという歴史が
概要:入口部分の30mに遊歩道(ボードウォーク)を設置
琉球王府時代の面影を残す周辺の史跡とメーガー洞をガイド付きで見学する「メーガー洞と周辺史跡巡り」が用意されているほか、時間に余裕のない人は、メーガー洞のみ見学(ガイドなし)も可能
松田鍾乳洞|宜野座村
所在地:沖縄県国頭郡宜野座村松田78
総延長:236m(高低差20m)
洞窟内の温度:20度~23度
歴史:平成25年に行なわれた松田鍾乳洞周辺環境活用整備事業まで、ジャングルに隠された神聖な場所として地元の人も近づかなった鍾乳洞
概要:連続するウーヌメー洞、イヌジー洞、クシ墓洞などの総称が松田鍾乳洞で、松田地区体験交流センターに予約し、ガイド付きで探勝(ガイド付きで探勝できるのは、ウーヌメー洞〜イヌジー洞〜クシ墓洞)
シムクガマ|読谷村
所在地:沖縄県中頭郡読谷村波平438
総延長:2570m
洞窟内の温度:20度~23度
歴史:沖縄戦の際に、波平地域の住民1000人が洞窟内に逃げ込み、比嘉平治(当時72歳)と比嘉平三(当時63歳)の説得を受け、全避難者がアメリカ軍へ投降し、生き延びた洞窟
概要:シムクガマを見学の際は、ガマ内に川の水が流れ込んでおり、足場が悪いため、運動靴などのしっかりとした靴、懐中電灯、軍手が必要
平和教育の場でもあるので、マナーを守って探勝を
糸数アブチラガマ|南城市
所在地:沖縄県南城市玉城糸数667-1
総延長:270m
洞窟内の温度:20度~23度
歴史:アブ(深い縦の洞穴)チラ(崖)ガマ(洞窟)というのが名の由来で、沖縄戦では避難壕として使われ、南風原陸軍病院の分院として機能(ひめゆり隊も入壕した病院壕)
270mの鍾乳洞内を600人以上の負傷兵が埋め尽くし、壮絶な状況に
概要:平和教育の場として活用され、「糸数アブチラガマ案内センター」に事前予約で入洞が可能(糸数アブチラガマ専属ガイド同伴での入壕が必要)
地域住民を巻き込んだ沖縄戦の生々しい実態を伝える貴重な遺構(マナーを守って見学を)
運動靴(または雨靴)、手袋、ヘルメット、懐中電灯の用意を
伊江島
ニャティヤ洞|伊江村
所在地:沖縄県国頭郡伊江村川平
総延長:不明
洞窟内の温度:不明
歴史:沖縄戦の時に防空壕としても利用され、多くの人を収容したので「千人洞」(せんにんがま)とも
概要:ユタ(沖縄神道独特の巫女)信仰の聖地で島を代表する拝所(うがんじゅ)
マナーを守って見学を
宮古島
保良クバクンダイ鍾乳洞(パンプキンホール)|宮古島市
所在地:沖縄県宮古島市城辺保良
総延長:
洞窟内の温度:
歴史:神が降りる聖地として、地元では大切な拝みの場所となっており、さらに周辺の環境保全(サンゴ、鍾乳石、粘土層「クチャ」の保全、)、入洞者の安全を図るため、令和4年に「保良クバクンダイ鍾乳洞保全利用協定」が沖縄県の認定を受け、入洞に関して制限が設けられています
概要:保良泉ビーチ(ぼらがーびーち)の東の海食崖にある鍾乳洞が、保良クバクンダイ鍾乳洞。干潮時のみ、カヌーやSUPで入洞でき、鍾乳洞内にカボチャを思わせる鍾乳石があるのでパンプキンホールとも呼ばれています
「保良クバクンダイ鍾乳洞保全利用協定」締結事業者のツアーに参加を(満潮時には入洞できません)
仲原鍾乳洞|宮古島市
所在地:沖縄県宮古島市城辺
総延長:265m
洞窟内の温度:20度ほど
歴史:一面のサトウキビ畑のなかにひっそりと隠れたような存在の鍾乳洞で、20年ほど前に公開
概要:「日本一怪しい個人所有の鍾乳洞」(地域活性にも尽力する洞主の上里勝彦さん/なかばり益々ぷからす振興協議会会長)とのことですが、地元では縁結び、子育てのパワースポットとしても有名
洞内は「ンマリアブ」(ンマリ=生まれる)と称される島の聖地なので撮影は禁止
伊良部島
ヌドクビアブ|宮古島市
所在地:沖縄県宮古島市伊良部池間添1229
総延長:25m、深さ22m
洞窟内の温度:不明
歴史:戦時中は防空壕としても活用されたといい、洞穴の奥にはカマドの跡があります
概要:ヌドクビは喉首(のどくび)、アブは深い(縦穴)で、喉首状態の縦穴の意
石垣島
石垣島鍾乳洞|石垣市
所在地:沖縄県石垣市石垣1666
総延長:3.2km、660mを公開
洞窟内の温度:23度
歴史:かつては竜宮城鍾乳洞と呼ばれていましたが、平成14年に石垣島鍾乳洞と改称
概要:地底湖の「長寿の湖」、全長40m、幅20m、高さ6mの大ホール「神々の彫刻の森」、トトロに似た「トトロ鍾乳石」、乙姫御殿、サンゴの鳴石通り、華厳の広場など見どころも豊富
サビチ鍾乳洞
所在地:沖縄県石垣市伊原間185-44
総延長:主洞が237m、支洞85mで、全長324m
洞窟内の温度:不明
歴史:大浜層と呼ばれる石灰岩を主体とする地層に発達した鍾乳洞
概要:「海に抜ける鍾乳洞」として知られ、干潮時には海へ抜けることができるので、なるべくなら潮位表で干潮を確認して探勝を
西表島
クーラ洞窟
所在地:沖縄県八重山郡竹富町上原
総延長:学術調査も行なわれていないため、全長なども定かでありません
洞窟内の温度:不明
歴史:鍾乳洞が小、中、大と3ヶ所あり、その鍾乳洞群の総称が、クーラ洞窟
概要:観光鍾乳洞ではなく、案内板もないので、自力で到達し、自己責任での探勝となるため、ガイド付きの鍾乳洞ツアーに参加するのがおすすめ
南大東島
星野洞
所在地:沖縄県島尻郡南大東村北64
総延長:400m
洞窟内の温度:18度
歴史:「ふるさと創生基金」を活用し、観光資源として整備、平成6年1月に公開された観光洞窟
星野洞という名は、サトウキビ畑広がる洞窟一帯が星野さんの所有地だったことに由来
概要:入洞にあたっては大東観光商事に予約が必要
夏は涼しい洞窟探検! 沖縄おすすめ鍾乳洞17洞 | |
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