2005年に愛知県長久手町(現・長久手市)で開催された21世紀初の国際博覧会が『愛・地球博』(愛知万博)。21世紀という未来感の実現、そして会場アクセスの向上を目的に建設されたのが、日本初となる磁気浮上式鉄道(リニアモーターカー)の常設実用路線です。それがリニモ(Linimo)。
リニアは、『つくば科学博』、『横浜博覧会』でも走行!

リニアモーターカーというと、東京と大阪を結び、JR東海が目下建設中の「リニア中央新幹線」や、その⼭梨リニア実験線(山梨県立リニア見学センター)での超電導リニア体験乗車を思い浮かべますが、すでにリニモ(Linimo)の愛称で親しまれる愛知高速交通東部丘陵線では、営業運転が2005年3月6日に始まっています。
実は磁気浮上式鉄道(リニアモーターカー)、1989年の『横浜博覧会』(YES’89)で、日本航空(JAL)が主体となり開発したHSST方式(常伝導磁気浮上方式)による磁気浮上式鉄道(リニアモーターカー)として日本初の営業運転を行なっています。
仕組みは単純で、車両下部の電磁石とレール側に設置された誘導コイルの相互作用で数mm〜1cmほど車体を浮かせるもの。
構想では最高時速300kmを目標とし、次世代の新幹線にはなりませんが、近距離の高速輸送には向いていたのです。
『横浜博覧会』(YES’89)では、単なるアトラクションの乗り物としてではなく、期間限定ではあったものの、鉄道事業法の第一種鉄道事業として運行。
美術館駅〜シーサイドパーク駅の路線全長515m、速度43km/h(性能上の最高速度は200km/h)で、まさに「初となる浮上式の鉄道路線」でした。
日本航空が開発した技術を使い、リニモが誕生!

このHSST方式(常伝導磁気浮上方式)の技術を応用して営業路線化したのが、リニモ(Linimo)だったのです。
なぜ、日本航空がリニアを開発したのかといえば、東京国際空港(成田空港)開港で、東京~成田間の空港アクセスを含めた新交通システムの開発に取り組んでいたからです(1985年に開催の『つくば科学博』では日本航空が350mの軌道を敷き、30km/hで走行、これが日本初のリニアでの旅客輸送)。
JR東海が開発を進めるのは超電導電磁石(超伝導電磁石)を利用する仕組みのため「超電導リニア」と称していますが、磁気浮上式鉄道(リニアモーターカー)であることに変わりはありません。
日本のリニアの歴史は、横浜博覧会に始まり、愛・地球博で花開いたといえるかもしれません。
ちなみに、JR東海によれば、超電導リニアの利点は、「時速500kmという高速性だけでなく、全速度域にわたる高い加減速性能及び登坂能力の点で優れています。さらに、超電導リニアは車両が強固なガイドウェイ側壁で囲まれており脱線しない構造であることなど、地震に強いシステムであり、安全安定輸送上大きな利点があります」としています。
超電導と普通のリニアとの最大の違いは浮上する力。
一般的な電磁石による吸引力で浮上するリニモ(Linimo)は、1cm程度ですが、超電導リニアでは10cmも浮上(継続的に10cm以上浮上させる強力な磁力を確保=非常に高い安定性)、時速500kmでの走行も可能となるのです。

万博で実用化、リニアモーターカーは、すでに営業中! | |
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