「1500万年前から存在する世界最古の猫」といわれるのが、マヌルネコ。プセウダエルルス(Pseudaelurus)属から約1500万年前に分岐した最初の2種のうちの1種で、600万年前にほぼ現在の姿になったという猫の中の猫! 各地の動物園で飼育されているので、猫好きならパンダでなく、マヌルネコでしょう。
国内の動物園で飼育は7ヶ所
猫の祖先であるプセウダエルルス、現在、8つの科と37種に枝分かれていますが、8つにわかれたうちのひとつがネコ科。
マヌルネコは、単独でマヌルネコ属を形成するように、昔のままの姿(ネコ科のルーツの姿)を今に伝える猫なのです。
マヌル(manul)はモンゴル語で、「小さい野生ネコ」の意。
アフガニスタン、イラン、ネパール、パキスタン、ブータン、中国、ロシア南部、モンゴルなどに生息していますが、個体数が少なく(生息数は6万頭弱ほど)、準絶滅危惧に指定されています。
肉食性で、ウサギ類、ネズミなどの小型ほ乳類が主食。
体長は50cm~65cm、少しずんぐりとした体型で、寒い場所に生息しているため毛が長く密集しています。
岩場に溶け込むための保護色のため、体毛はグレー系、毛色はイエネコとの違いはありませんが、大きな違いは耳の位置です。
イエネコの耳は頭の上くらいにありますが、マヌルネコは顔の横にあるので、動物園に行ったらじっくりと観察を。
瞳孔もイエネコは明るいところでは目が縦長(いわゆるネコ目)になりますが、マヌルネコは瞳孔が丸いままで大きくなったり小さくなったり変化します。
警戒心が強いので、動物園で飼育されるマヌルネコも物陰からこちらを観察する姿をよく見かけます。
飼育員もライオンなどと同様に非接触で飼育し、繁殖も非常に困難なため希少性が高く、マヌルネコを目的に動物園を訪れる人も増えているのです。
マヌルネコを飼育展示している動物園は、北海道では、旭山動物園(北海道旭川市)、関東では那須どうぶつ王国(栃木県那須町)、埼玉県こども動物自然公園(埼玉県東松山市)、恩賜上野動物園(東京都台東区)、東海地区では東山動植物園(愛知県名古屋市)、近畿では神戸市立王子動物園(兵庫県神戸市)、神戸どうぶつ王国(兵庫県神戸市)があり、並ばずとも見学ができるのが強みです。
神戸どうぶつ王国では、2024年4月19日にマヌルネコの赤ちゃんが5頭生まれています。
ちなみにイエネコの遺伝学的に最も近い野生のネコは、リビアヤマネコ。
13万年前にほかのヤマネコから枝分かれしたリビアヤマネコが、1万年ほど前にメソポタミア文明発祥の地で人と暮らすようになったと推測され、それがイエネコのルーツとなっています。
1500万年前から地球に生息する「世界最古の猫」を、動物園に見に行こう! | |
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