東海道新幹線から、名物のちくわ、いなり寿司の並ぶ売店を横目に、名鉄名古屋本線を目指す人も多いかと思いますが、全国の「総合駅」のなかでもかなり異色の駅が、豊橋駅。「総合駅」は、名古屋県でいえば金山総合駅のような、私鉄とJRが相乗りで駅舎を構えるターミナル駅です。
東三河のターミナル駅なのに肩身の狭い名鉄

豊橋駅同様に名鉄とJR東海の共同ターミナルとなっている金山総合駅は、名鉄のホームを挟んで東海道本線、中央本線のホームがあります(その脇に名古屋市営地下鉄も)。
総合駅・豊橋駅は名鉄線とJR在来線が同じ構内で、しかも改札口も共用という、まさに共同使用駅。
歴史的には、明治21年9月1日、官設鉄道(現・東海道本線)の駅として開業したのが始まりで、そこに明治30年7月15日、豊川鉄道が乗り入れています。
この豊川鉄道は、現在のJR飯田線です。
昭和2年6月1日に愛知電気鉄道豊橋線が乗り入れていますが、豊橋駅(吉田駅と呼称した時代もあります)〜平井信号所(現・平井信号場)の間には豊川があり、橋をかけるには莫大な設備投資を要するため、上り線は愛知電気鉄道豊橋線、下り線は豊川鉄道という線路の共用が行なわれました。
実は、今もこの線路共用が続けられ、名鉄名古屋本線とJR飯田線はこの区間だけは同じ線路を走っています(そのため共用区間では名鉄は1時間に最大6本しか列車を運転することができません)。
そんな歴史を背景に、1番線・2番線はあまり本数の多くないJR飯田線、3番線が本数の多い名鉄名古屋本線(名古屋・岐阜方面への特急、急行などが頻発)、4番線は快速など、名鉄のライバル電車が走るJR東海道本線・下りとなっていて、名鉄がJR線に挟まれた感じに。
異色なのは、駅舎と設備、案内表示です。
駅舎の表示はJR東海で、外側のロータリーから眺めると、JRの駅のよう。
もともと、国鉄時代の昭和45年、豊橋ステーションビルとして誕生したもので、平成9年商業施設「カルミア」、ホテル「ホテルアソシア豊橋」が開業と、今もJR東海系の豊橋ステーションビルが保有。
初めて豊橋を訪れた旅行者が駅ビルを眺めると、名鉄の豊橋駅はどこだろうと探してしまいそうです。
駅舎内に入ると、豊橋駅の自由通路(コンコース)には新幹線と在来線の改札があり、豊橋駅の在来線ホームは「JR線・名鉄線のりば」という案内表記が。
つまりは改札は完全に共用されているのです。
しかも改札をくぐっても、名鉄のホームにはJR東海が設置した名鉄名古屋本線の発車案内板、3番線の駅名標もJR東海様式(名鉄なのにJR東海ロゴ入りの駅名標)という複雑な関係で、名鉄が間借り状態なのがよくわかります。
JR線と名鉄線を乗り換える場合、ICカード利用客はホームに設置されているICカードリーダーにタッチする必要があり、JR東海も「ピンク色のICのりかえ改札機に必ずタッチしてください」と呼びかけています。
新幹線の乗り換え口からだと、そのまま名鉄のホームに到達できますが、当然、自販機で名鉄のきっぷを購入する必要が生じます。
その際、ICカードを利用すれば、ICカードリーダーにタッチすればJR線の出場処理と名鉄線の入場処理が完了したことになり、スピーディなのです。
東海道新幹線から名鉄名古屋本線に乗り換える機会があるなら、ぜひ豊橋駅と共有部分をじっくりとチェックしてみてください。
逆に名鉄線から新幹線に乗り換える場合は、名鉄を、ICカードで乗車すれば、ICのりかえ改札機にタッチすることで名鉄線の精算が行なわれ、同時にJR線への入場となりますが、ICのりかえ改札機から新幹線乗換改札機までの間は運賃の引き去りが行なわれないシステムになっています。
名鉄線から降車後にICのりかえ改札機にタッチをして処理をしていると、豊橋駅新幹線乗換改札口で新幹線きっぷの購入が可能となります。
ちなみに名鉄では通常、名鉄岐阜駅を岐阜駅、名鉄名古屋駅を名古屋駅と簡略に表示していますが、名鉄名古屋本線の発車案内板(JR東海設置)などでは、フルネームで表示しています。
乗り間違いを防ぐ目的があるのかもしれません。


名鉄なのにJRのような不思議な名鉄豊橋駅、その理由とは!? | |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
最新情報をお届けします
Twitter でニッポン旅マガジンをフォローしよう!
Follow @tabi_mag