青森県で話題の「スヌーピー滝」・弥勒ノ滝には悲しい僧の伝説が

「スヌーピー滝」・弥勒ノ滝

青森県三戸郡田子町(たっこまち)、南は岩手県、西は秋田県との境に接する山間の町に落ちる秘瀑が、弥勒ノ滝(みろくのたき)。滝水が流れ落ちる岩盤が目の部分に穴が空きスヌーピーにそっくり、スヌーピーの泣き顔と話題で、「スヌーピー滝」と称されています。その滝には村人を案じた僧の悲しい物語が秘められています。

滝が懸かる巨岩がスヌーピーにそっくり

「日本で最も美しい村」連合に加盟する田子町。
弥勒ノ滝は、熊原川に懸かる高さ30m、幅20mの滑滝(なめたき)で、巨大な岩肌を繊細な水がすべり落ちる姿は、地元では別名「そうめんの滝」とも称されています。
かつては鹿角とを結び、幕府巡見使や藩主の巡視の際にも使われた三戸鹿角街道(さんのへかづのかいどう)沿いに位置していますが、三戸市街(青い森鉄道・三戸駅)からも車で1時間近くかかる山中のため(田子町中心街からは20分ほど)、訪れる人も少ない、秘境的な存在です。

室町時代初期、弥勒菩薩(釈迦牟尼仏の次に現われる未来仏)の出現を念じていた僧・中岳坊は、毎年の凶作に苦しんだ里人に信仰を説いていました。
この大願が叶い、大滝が生まれ、滝水は下流の田を潤すようになりましたが、それとともに中岳坊は入寂(にゅうじゃく)。
感謝とともに入寂を悲しんだ里人は、中岳坊が信仰した弥勒菩薩の名を取って弥勒ノ滝と称するようになったとか。

日本では戦国時代に弥勒菩薩がこの世に出現するという信仰が流行、江戸時代には富士山信仰と融合して富士講が生まれますが、そうした世相を反映し、滝で弥勒菩薩の出現を念じた僧がいたと推測できます。

管理棟のある入口からブナの原生林に囲まれた遊歩道を5分ほど歩けば滝に到達。
スヌーピーの姿を見ることができます。
水の流れによっては、涙するスヌーピーにも見えますが、滝前には親水広場もあるので、のんびりと過ごすことができます。
新緑から紅葉まで入山は可能ですが、町内では熊の出没も多いので、朝夕はとくに注意が必要(出没状況などを事前に確認を)。

ちなみに日本国内でスヌーピーに似たというスポットは、山口県の秋吉台・スヌーピー岩、鹿児島県指宿市のスヌーピー山が知られています。

注/観光協会などで弥勒が難読のため、「みろくの滝」という紹介もありますが、ニッポン旅マガジンでは国土地理院にあわせて正式名の弥勒ノ滝で表記しています。

青森県で話題の「スヌーピー滝」・弥勒ノ滝には悲しい僧の伝説が
所在地 青森県三戸郡田子町夏坂
場所 弥勒ノ滝/みろくのたき
関連HP 田子町観光協会公式ホームページ
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
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