ドイツのE・ナウマンにより命名された世界第一級の大断層が中央構造線。九州・八代市から九州・四国を横断、伊勢を経て諏訪湖、さらには埼玉県の秩父・長瀞へと至る1000km以上もの大断層です。各地で逆断層の露頭がありますが、日本最大の露頭が、愛媛県西条市の湯谷口衝上断層(ゆやぐちしょうじょうだんそう)です。
生きている地球を体感できるスポットとして注目
中央構造線(Median Tectonic Line: MTL)は西南日本の内帯(内陸側)と外帯(南海トラフ側)を区分する断層(ドイツ人地質学者エドムント・ナウマンの区分です)。
日本がまだアジア大陸の一部だった頃に誕生した長大な断層で(大陸プレートの内部にできた大地のズレ目)、日本列島の内側と外側の「つなぎ目」ということになります。
中央構造線は本来は南北(北北東-南南西方向)の断層でしたが、2000万年~1500万年前に日本海が拡大してアジア大陸から分離、西南日本は、時計回りに回転して、四国などでは中央構造線の向きは東西方向に変わりました。
1億年という悠久の歴史の中で、何度かの活動期があり、その都度、異なる方向にズレるという活動を繰り返してきましたが、表土に覆われ、そして樹木が生い茂って、地表に現れるいわゆる「露頭」は貴重な存在です。
四国では北側が和泉層群、南側に三波川変成岩類でその地質境界断層が、中央構造線ということで、どこを境にして内帯か外帯かがわかるのです。
JR予讃線・伊予小松駅から南西へ10km(車で20分ほど)、松山市と新居浜を結ぶ国道11号沿い、中山川渓谷の入口にあるのが中央構造線露頭の湯谷口衝上断層。
湯谷口衝上断層では中山川の下流側に7000万年前に海底に堆積した和泉層群(赤い和泉砂岩)が、上流側の1億年前に地下の深部で変成岩になった結晶片岩(黒い雲母片岩)に乗り上がった形なので、衝上断層と称されています。
和泉砂岩と雲母片岩の間の断層部には石槌山の火山活動期に安山岩が貫入し、サンドイッチのような形状に。
湯谷口露頭は中山川の両岸で確認でき、四国を横断する中央構造線の中でももっともはっきりと視認できるので、愛媛県の天然記念物に指定されています。
また、湯谷口露頭から北に80mほどのところには活断層(川上断層)が並走し、土地に段差ができています。
日本最大となる「中央構造線の逆断層」の露頭は、愛媛県に! | |
名称 | 湯谷口衝上断層/ゆやぐちしょうじょうだんそう |
所在地 | 愛媛県西条市丹原町来見 |
ドライブで | 松山自動車道いよ小松IC から約8km |
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