気象庁が最後に認定した活火山、男体山は噴火の可能性がある!?

男体山

日本国内にある活火山は、現在111。これは気象庁がその変化をチェックする対象の火山ということで、今後、わずかであっても火山活動が活発化する可能性がある山ということになります。2017年6月、最後に活火山に加わったのが、男体山(日光市)で、男体山は爆発の可能性があるのでしょうか。

確認されている最新の噴火は7000年前のマグマ水蒸気噴火

男体山
華厳の滝と男体山

2003年(平成15年)、火山噴火予知連絡会は「概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」を活火山(総数108)と定義し直し、それまでの休火山、死火山という概念は消え去っています。
その後、2011年6月に2火山、さらに2017年6月に目下、認定最後の活火山、男体山(栃木県日光市)を追加しています。

標高2486mの男体山は、日光開山の勝道上人が天応2年(782年)に初登頂。
この初登頂に関しては、空海の記した『性霊集』に詳細に記述され、かなり信憑性が高いものとされています。
男体山の登頂を果たした勝道上人は、中禅寺湖畔に中禅寺を建立、東日本随一の修験の山として発展を遂げるのです。
神仏習合で、江戸時代には日光三社権現(現・日光山輪王寺、日光二荒山神社)、家康が祀られた東照宮を中心に繁栄します。
神仏習合が進展すると、日光三山(男体山・女峰山・太郎山)、日光三仏(千手観音・阿弥陀如来・馬頭観音)、日光三社(新宮・滝尾・本宮)を同一視する考えが整っています。

そんな男体山ですが、現在も日光二荒山神社の境内、神域で、4月25日の山開きで日光二荒山神社中宮祠の登拝門が開かれ、11月11日に閉山されています。
現在も登山ではなく、登拝というのが正しい表現で、山頂には日光二荒山神社の奥宮が鎮座しています。

毎年開山時期には多くの登拝者で賑わう男体山ですが、確認されている最新の噴火は7000年前のマグマ水蒸気噴火で、有史以来の火山活動の記録はなく、これまで死火山的な扱いだったのです。
過去1万年間には、山頂火口内に位置する小火口を噴出口とする噴火が、少なくとも4回発生しているので、山頂火口内に火口湖を形成したと推測できます。

基底径6km、比高1200m、円錐状をした成層火山で、山頂部にはかなり浸食が進んでいますが直径1kmの火口を有しています。
奥日光から日光にかけての階段状の地形は、日光火山群のダイナミックな火山活動で形成されたもので、華厳の滝の華厳溶岩流も男体山の初期(3万年前~1.7万年前)の火山活動で流出したもの。

最新の噴火は7000年前のマグマ水蒸気噴火ではあるものの、東日本大震災(2011年3月11日)の直後の2011年3月~2012年秋には山頂西側及び山頂から北へ5km付近で構造性の地震活動が活発化したことがありました。
最大規模の地震は、3月11日17:40に山頂西側の深さ4kmで発生したM4.2の地震(日光市で震度3を観測)で、一見すると眠っているように見える男体山も、地下ではうごめく何かがあるということがわかります。

日光火山群で今も火山活動が確認できるのが山頂部に溶岩ドームが形成される日光白根山で、1952年にも噴煙を上げていることから、気象庁の常時観測火山となっています。

男体山もいきなり爆発することはなく、火山性微動や山体膨張など、事前に変化があるので、活火山ではあるものの、今のところ登山、観光などで心配することはないようです。

男体山
中禅寺湖からの男体山は成層火山らしい美しい姿

男体山に噴火予報(活火山であることに留意)を発表

平成29年12月5日14:00、気象庁地震火山部

  1. 火山活動の状況及び予報警報事項
    男体山の火山活動は静穏な状況で、噴火の兆候はみられません。
  2. 対象市町村等
    栃木県:日光市
  3. 防災上の警戒事項等
    男体山の火山活動は静穏な状況です。
    活火山であることに留意してください。
男体山
男体山山頂は火山らしい荒々しさが
気象庁が最後に認定した活火山、男体山は噴火の可能性がある!?
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
男体山

男体山

中禅寺湖の湖畔でひときわ目立つ標高2486mのコニーデ型の独立峰が、男体山(なんたいさん)。江戸時代まで「日光山」と呼ばれた神仏習合信仰の中心的な存在で、日光開山の勝道上人の開山。「日光山」は神仏分離令で日光二荒山神社と日光山輪王寺に分かれ

 

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