龍穴神社

龍穴神社

奈良県宇陀市室生(むろう)、奈良時代から平安時代、都からの勅使により雨乞いの神事が営まれたこともあるという古社が、龍穴神社(りゅうけつじんじゃ)。創建の年代は定かではありませんが、室生寺よりも古い歴史を誇り、神仏習合時代には室生寺とは鎮守社と神宮寺の関係でした。

室生信仰のルーツ、龍穴を祀る神社

龍穴神社の社前を流れる室生川は淀川となって大阪湾に注いでいますが、その水源に鎮座する龍穴神社の祭神は、古代から降雨を司る神として崇敬を集めたのです。
平安時代には朝廷から雨乞いの使者が遣わされたとも伝えられています。

境内の少し上流側に龍神が住むと伝わる洞穴(妙吉祥龍穴)があり、ここが信仰のルーツで、奥の院。
宝亀年間(770年〜781年)、山部王(のちの桓武天皇)の病気平癒のため、室生の地において延寿の法を修したところ、竜神の力で見事に回復したとの記録がありますが、この祈祷が行なわれたのがこの龍穴と推測できます。

龍穴への古代の信仰があり、その霊験から朝廷の命でその地に室生寺が建立され、龍穴神社が近接して築かれ、龍穴はその奥宮として位置づけらたというわけなのです。

現存する春日造りの社殿は寛文11年(1671年)の建立で、奈良県の文化財に指定。

聖地信仰を生み出したのは、室生火砕流堆積物

室生寺、龍穴神社周辺は室生火砕流堆積物が形成する室生火山岩類で、凹地を取り囲んでいる急な崖は凝灰岩(室生火砕流堆積物=火山灰が固まったもの)です。

1400万年前の火山活動で誕生した凝灰岩が、室生寺一帯の「清絶幽絶」(せいぜつゆうぜつ)を生み出し、割れ目は、龍穴として信仰され、宗教的聖地へと発展したのです。

奈良時代末期、室生で、 山部王の病気平癒祈願が行なわれたのをきっかけに、室生寺が建立され、そのきっかけとなった龍穴は、山城国の貴船神社、大和国の丹生川上神社 とともに、祈雨、止雨を祈 る土地として、国家的信仰の重要な位置づけとなったのです。
『日本紀略』の弘仁9年(818年)七月十四日の条には、山城国貴布禰神社と大和国室生龍穴で降雨を祈願したことが記されていて、これが歴史に残される龍穴での国家的な奇岩の初出です。

龍穴神社
名称 龍穴神社/りゅうけつじんじゃ
所在地 奈良県宇陀市室生1297
関連HP 宇陀市公式ホームページ
電車・バスで 近鉄室生口大野駅から室生寺前行きバス終点下車、徒歩15分
ドライブで 名阪国道針ICから約16km
駐車場 なし
問い合わせ 龍穴神社 TEL:0745-93-2177
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。
室生寺

室生寺

宇陀市にある室生山の山麓から中腹にかけてが境内となった山岳寺院が室生寺(むろうじ)。同じ真言宗で女人禁制だった高野山金剛峯寺に対し、室生寺は女人の参詣を許可したため、「女人高野」と呼ばれています。国鉄の『ディスカバージャパン』キャンペーンの

 

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