奈良市の世界文化遺産「古都奈良の文化財」は令和5年で登録から25年の節目を迎えましたが、奈良市観光協会では、12月1日、SNS映えする「新・南都八景」を発表。そのうちのひとつが鑑真が開いた唐招提寺の金堂で、9世紀初頭までに建設された建物が現存し、国宝になっています。
戒律を学ぶ人たちのための修行の道場、唐招提寺
南都六宗のひとつ、律宗の総本山が唐招提寺。
僧侶に位を与える伝戒師制度を普及させるため聖武天皇が唐から招聘した高僧が鑑真で、天平勝宝5年(753年)、両眼の視力を失いながら、6回目の渡日で、ようやく屋久島(多禰国)に到達、大宰府を経て、平城京にやって来たのです。
鑑真招聘の目的は日本での戒律の確立だったため、孝謙天皇の勅により(聖武天皇はすでに上皇に)、鑑真は東大寺大仏殿に戒壇を築き、上皇から僧尼まで400名に菩薩戒を授けています。
鑑真は天平宝字3年(759年)、平城京の右京、新田部親王(天武天皇第7皇子)邸宅跡に戒律を学ぶ人たちのための修行の道場として唐招提寺を開山、天平宝字7年(763年)、唐招提寺で死去しています。
現存する金堂(国宝)は、奈良時代(8世紀後半)建立の金堂としては、唯一のもの。
本尊を安置する須弥壇(しゅみだん)には中央に高さ3mを超えるという本尊・盧舎那仏坐像、向かって右に薬師如来立像、左に千手観音立像の3体(いずれも国宝)を安置しています。
連子窓から取り入れられた柔らかな光が、厳かな雰囲気に仏像を照らし、天平の昔に誘ってくれます。
ちなみに、唐招提寺は東大寺のような官寺ではなく、私寺(当時の僧は、現在の国家公務員的な存在でした)。
唐では官寺でない寺を「招提」と称したので、「唐の律を学ぶ道場」としての「招提」(私寺)の意で、唐招提寺と称したのです。
あまり知られていませんが鑑真は、日本に戒律を伝えるとともに、漢方薬をも伝え、その処方は、現代日本の体系化された漢方薬処方の源流にもなっているのです。
【新・南都八景】唐招提寺「金堂」 | |
所在地 | 奈良県奈良市五条町13-46 |
場所 | 唐招提寺・金堂 |
関連HP | 唐招提寺公式ホームページ |
電車・バスで | JR奈良駅から奈良交通バス六条山行きで17分、唐招提寺下車すぐ。または近鉄橿原線西ノ京駅から徒歩10分 |
ドライブで | 京奈和自動車道木津ICから約7.5km |
駐車場 | 150台/有料 |
問い合わせ | 唐招提寺 TEL:0742-33-7900/FAX:0742-33-5266 |
掲載の内容は取材時のものです。最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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