旧守門村の中心部・魚沼市須原地区にある重要文化財目黒邸は、寛政9年(1797年)に建てられた割元庄屋(大庄屋職)の役宅を兼ねた豪農住宅。自然石を積み上げた野面積み(のづらづみ)の石垣で塀を築き、門柱に貫(ぬき)をかけた冠木門(かぶきもん)を設けるなど、中世武士の屋敷構えになっており、国の重要文化財に指定されています。
警察・裁判権を行使する割元庄屋(大庄屋職)の家
割元庄屋とは、代官・郡代と庄屋の中間に位置した大庄屋のこと(地域によっては大庄屋、大名主、大肝煎などとも称されました)。
数ヶ村から十数ヶ村を統括し、法令の伝達、年貢や諸役などの割り振りを行ない、さらには藩から与えられた警察・裁判権を行使していました。
つまりは、農家というよりも行政機関でもあったのです。
新潟県内では旧笹川家住宅(新潟県新潟市南区・笹川邸)もこの大庄屋です。
主屋は茅葺き(かやぶき)、寄棟造り(よせむねづくり)。
正面の表中門は入母屋造り(いりもやづくり)で、懸魚(げぎょ)の配された千鳥破風(ちどりはふ)の屋根は行政権や司法権をも行使した邸宅に威厳を添えています。
隣接する銅板葺、寄棟造の建物は、目黒家最盛期の明治34年に建てられた「離れ座敷」です。
中蔵、新蔵が現存していますが、かつては籾蔵(もみぐら)、米蔵、味噌蔵、酒蔵、醤油蔵などがありました。
酒蔵は大正時代にコロで引いて移動し、現在は玉川酒造の酒蔵として活用されています。
藩の役人は槍の間、中の間を通って奥座敷へ通されました。
番頭部屋、不寝番の部屋、奉公人部屋など使用人の部屋も多く、その権勢に合った間取りとなっています。
座敷から畳廊下の小座敷越しに望む中庭は、江戸時代後期の築庭された池泉回遊式庭園です。
映画『藏』のロケにも使われた豪農の家
冬の豪雪にも耐え抜いた豪奢な建物は平成7年公開で宮尾登美子原作の映画『藏』(監督:降旗康男、主演:浅野ゆう子、音楽:さだまさし・服部隆之)のロケに使用されています。
茅葺き(かやぶき)屋根はほぼ15年ごとに全面葺き替えが必要で、魚沼市ではその技術も伝承しているのです。
目黒家の古文書や生活用具などが展示される目黒邸資料館を併設しています。
同じ地区には重要文化財佐藤家住宅もあるので合わせて見学を(目黒邸から車で3分ほど)。
重要文化財目黒邸 | |
名称 | 重要文化財目黒邸/じゅうようぶんかざいめぐろてい Meguro Residence(The Meguro Residence An important cultural property designated by the Japanese Government) |
所在地 | 新潟県魚沼市須原890 |
関連HP | 魚沼市公式ホームページ |
電車・バスで | JR越後須原駅から徒歩5分 |
ドライブで | 関越自動車道小出ICから約13.6km |
駐車場 | 20台/無料 |
問い合わせ | 重要文化財目黒邸 TEL:025-797-3220/FAX:025-797-3220 |
掲載の内容は取材時のものです、最新の情報をご確認の上、おでかけ下さい。 |
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